1話 1度目の転生①
前回の人生は職業柄死と隣り合わせみたいな事をしており、時には今にも崩れそうな遺跡での発掘、大昔に強力で倒しきれなかったため封印してモンスター弱体化するまで放置する地下牢としての役割だったダンジョンでのモンスターやアイテムの回収、場合によっては討伐。あるいはそこの下調べ。
要人や旅の途中までの警護や国に敵対する魔王配下の種族による襲撃に対抗したりとともかくそんな生き方をしていたのもあり、21歳で死んでしまった。
この事を死に戻り能力を持っているのを知ってる人に話すと、いや死に戻り使えよ。とか、死に戻りだらなんとかすればいいのにとか、死に戻りがあるからそんな早く死なないだろと言われるだろう。
もしかすると死に戻りがあったから21歳まで生きられたのかもしれない。
ただその死因も死に戻りである。
死に戻りには欠点がある。
それは使えば使うほど、それも短期間に発動すればするほど体が弱体化し、ボロボロになっていくと言うものだ。
ボロボロになった後、体が耐えられなくなり比喩でなく文字通りボロボロに崩壊してしまう。枯れて乾いた花をクシャってした感じだ。
その瞬間に何度も死に戻りは発動するがもちろんもう意味なんてない。体は塵になりもどる体という器もなくなり、俺は人生は終わった。
できるなら次の人生はこんな能力のない人間に生まれ変わりたい。それが無理ならせめてこんな能力発動させずに死なる人生でありたい。
そして気がつけば転生していた。
3歳になった。2歳より前の記憶についてはいまいち覚えていない。気づいたことといえばこの世界はおそらく魔法がないということだ。そして俺は前世の記憶がある。
能力についてはまだ死んでいないからわからない。見た感じ少なくとも前の世界ではない。
少なくとも自分の周りを見る限り魔法を見ない。
おそらく魔法がない世界だろう。
ということは、あれ程無ければいいと願っていた死に戻りの能力は希望や願いや期待を込めてないと思っていいだろう。
過去を覚えているのも前世の能力が最後に体が崩れた状態で意味もなく発動した時の後遺症のような何かだろう。
少なくとも転生前ほどの魔力自体この世界に全くと言っていいほど感じられない。
それはともかく、3歳児の自分は記憶はあるとはいえ普通の3歳児だ。身体能力はもちろん普通におもちゃで楽しく遊ぶし、お母さんやお父さんに抱っこしてもらうと嬉しいし高い高いも面白くて好きだ。
家族のクジで言うと今のところそれなりに当たりを引けたと思う。
体や脳の影響なのか、見た目に引っ張られているのか、はたまた周りの自分への扱いに影響を受けているのかはわからないけど前世の記憶があろうが趣味嗜好をはじめとしたものが割と行動や選択が三歳児っぽくなった気がする。
とはいえ前世の記憶がある分普通の3歳児よりは精神年齢は少しうまく説明しづらい。3歳児的な考えも発言も心から思っていっているけど、同時にそれを理解しているところは普通の3歳児じゃないっていうか……。
うまく言えないけど、子供っぽい自分の行動や思考に客観視できるというか、
あとは最低限の願いで言うと、順調に普通に死ねればそれでいい。