『確かにその件の原因です』『けんか腰だから』
●確かにその件の原因です
遺跡帰り。
人間界から魔界に入ってしばらくして
「っ!!」
クリウスが突然剣を抜いて振り切った。突然のことに驚く私を庇うようにクリウスが立つ。
どうした?と口を動かす前に状況を理解する。
「相変わらず奇襲がお好きですね?お兄様。」
「末妹の癖に相変わらず嫌味たらしいな。」
私より明るい、赤い髪。
赤だけじゃなく黄色も混じっていて境目のあたりはオレンジにも見える。
「あれがコウキョウか?」
勇者の言葉にうなずく。
「で?珍しいやつを侍らせてるじゃあないか?エールでもあのいけ好かない悪魔でもなく、まさか人間とは。」
「お兄様こそ人間と手を組んだと噂になっておりますが。」
「ああ。あれは一応人間の中でも王家とかいうものの血筋だからな、血統書付きみたいなものだろ。お前のどこの馬の骨だかも分からない男とは違うんだよ。」
なんだそのペットみたいな感覚。絶対この人賢者に利用されてる気がするんですけど。
「まあ、お前みたいな炎の属性のくせに攻撃じゃなく防御に特性が傾いてるやつにはちょうどいいんじゃないか?」
お兄様は相変わらず偉そうだ。
「こいつはね!私なんかにはもったいないくらい優秀なんだから!!私のことは今更どうでもいいけどね、こいつのことは見下さないでくれる?!」
「……へえ?」
ポンと勇者に肩をたたかれる。
「あいつか。」
「え?何が?」
「お前がたまに、自分を自分なんかと卑下する原因はあいつか。」
「あ……えーっと。」
無意識だけどそうかもしれませんね?
いや、ここで肯定したら勇者激おこじゃない?
●けんか腰だから
「えっと、あの、まあそうと言えばそうなんだけど、あいつのことは放って城に帰ろうよ?」
「……。」
なんで私は必死に勇者を宥めてるんだろう。全部あの愚兄のせいだ。
「おい、愚妹!!俺に背を向けるとはどういうことだ。」
それどころじゃないからだよ!!
スキルを考えても、どっちかが死ぬ確率が高すぎて問題しかないし。
「愚妹?シュキの事をそう言っているのか?」
「は?お前誰に許可とってそいつの名前呼んでるんだよ。」
「そもそもお前、シュキに勝てないくせに何を言ってるんだ。魔王になったのはシュキで魔王は魔界で一番強い。お前は魔王になれなかった時点で二番手だろう?そのシュキが愚妹ならお前はそれ以下の一体何なんだ?」
煽るな!!
というか2人っきりじゃないのに名前で呼ぶな?!
「おま、魔神は私以外はカンストしてるんだぞ!!しかもお兄様のスキルは相手に自分の攻撃力の10倍の攻撃をする、だ。」
「ああ、ステータスに変わりはないから何倍になってもお前にはダメージが通らないんだな?」
その通りだけどさ!!今言いたいことはそれじゃない!!
「私はともかくお前が攻撃をくらったら痛いぞ!!」
「まあ、そうだな。」
肯定してる場合か!!
そう思ってると視界の端に明るいものが見えた。仕方がないので光の前に飛び出して炎を受けることによって炎をかき消す。
「悪いけどさ、私はこいつを仲間だと思ってる。私がどれだけ仲間想いかお兄様ならわかりますよね?」
「はっ!俺よりもそんな人間の方が大切か!!」
「何を当たり前のことを言ってるんですか?」
炎と炎。抜群の攻撃はできない。だからお兄様と戦うのは面倒なのだ。
私はダメージをくらわないけど、いかんせんお兄様にもダメージが通りにくい。
泥試合とアマ姉が言っていた通りである。だから
「っ?!」
「私の用心棒、意外と強いでしょう?」
攻撃は勇者に任せたほうが手っ取り早い。私が防御に専念すれば
「リューンも、やめておいてくれる?」
物陰に潜んでいたお兄様のお付きの魔人の攻撃だって全然怖くない。
勇者は攻撃に専念して、斬撃を放つ。
……一番の恐怖がフレンドリーファイヤーってどう思います?
魔「私、そんなに自分を卑下してる?」
勇「たまにな。私なんかとか言ったことがある。」
魔「うーん。確かに言ったかも。まあ、愚兄とは年が近いから幼少期色々あったけど。」
勇「例えば?」
魔「スキルの関係上、生まれたばかりの私はレベル上げをしてた愚兄に負けるので大分痛い目にあわされました。」
勇「……ほお?」
魔「あくまで昔の話だからね?100年以上前!私にダメージが通らなくなってからは全然平気だから!!次回は『魔神の感覚的にはもはや年子』『魔神の死因第2位と第3位』だよ!」
勇「コウキョウ、許すまじ。」
魔「落ち着いて?」




