『魔神族について』『アマ姉のお人形』
●魔神族について
「神に子どもがいたのか?!」
「正確に言うとちょっと違うんですけど。他の生物が全て創造物なのに対して魔神だけは自然発生物なんですよ。」
「自然発生物。」
「神が作り出した魔力溢れる世界。その魔力の属性の概念として、神に近い形を得たのが魔神です。」
平たく言うと擬人化が近い。魔界の自然環境の擬人化的な。
コウ殿の話に割って入るわけにはいかないので、僕は黙って話を聞く。ユーシャの理解できないっていう顔が面白いからではない。ないったらない。
「神が作った世界そのものから生まれた世界初の種族。一説によると他の生物は魔神達が寂しくないように作られたという話もあるほどです。」
ユーシャはその説明にあいまいに頷いた。
コウ殿はアマネ様のお付なので大分こういう話が好きなのだ。熱がこもっている。
「でも物語性だけではここまで強い魔神信仰は保たれていないでしょう。そう、物語性以外にも魔神族には多くの力があります。その最たる物の一つが神がいなくなった魔界の存続です。」
「……神は既に大昔に空に帰ったとかじゃなかったか?」
「そうですね。まあそれでもたまに世界を見守っているようですから見捨ててはいないのでしょう。しかし魔神族は神がこの世界を忘れ、完全に見捨てたとしてもこの世界を保つ力があるのです。」
ユーシャは頭を抱えた。
「魔人なら……いえ、魔族であれば魔神について知っているのは当然です。しかし本当に人間界では魔神信仰が忘れ去られているのですね。」
コウ殿はふうっと息をつくとどこからか指示棒を取り出しにっこり笑った。
「ソラ様の……いえ、あなたの主人はシュキ様ですから魔神全体について私が教えて差し上げましょう。」
●アマ姉のお人形
「あぁー。温泉っていいわねえ。赤い温泉、アカちゃんにぴったりだと思うわ。私としては白濁してる系の温泉もありだと思うのだけど。」
「城の皆が私のために掘ってくれました。」
アマ姉の髪は銀色で色が薄い。だから温泉の色がつかないかちょっと不安である。
「それで、何の用なんですか……?」
「言ったじゃない。リゾートを満喫しに来たの!」
そんなことを言うアマ姉に胡乱な視線を向け続けてみる。
「……まあ、確かにリゾートを経営してる皆を私の人形にすれば私の家でもリゾートが楽しめるかもとは思ったけど。」
「リゾート経営をしてるわけじゃないです!」
「でもあれね。皆が自分の意志でアカちゃんのためにやってるなら人形にしても無駄ね。一番いいのはこうして遊びに来ることだわ。」
うん。ぜひそうして欲しい。
アマ姉の言う皆人形にするというのは前提に大量虐殺が入るやつだ。それを悪いと思ってないから質が悪い。
「でも本当、アカちゃんと一緒にお風呂に入るなんて100年ぶりくらいじゃないかしら!身長はまだまだって感じだけど、発育は悪くないみたいで良かったわ。」
そういわれると居心地が悪くなるのは何なんだろうな?とりあえず肩まで湯につかることにする。
「あの人間が死んだら私のところに来なさい。ちゃんと人形にしてあげるから。」
ニコニコしながらお姉さん頑張る!とか言ってるアマ姉にため息をつく。
「……それは意味がない。」
「あら?生きてる時と同じように動くのに、生きてる時と何の違いがあるのかしら?」
「魂も心も意志もない、ただの動く肉体を私は生きているのと同じように思えない。」
「難儀なことねえ。」
アマ姉はちゃぷちゃぷとお湯を手ですくって遊んでいる。
勇「魔神とか、何この設定めんどくさい……。絶対これ、ゲーム本編クリアシナリオだろ。」
魔「概念があるだけで、本編にはそこまで関わってこないやつかもしれないだろ。」
勇「お前が魔神な時点で一定の関りは避けられないだろ。」
魔「魔王討伐ルートならこんなこと知らなくてもよかったのにな。」
勇「…………。予告の場面で抉ってくるんじゃない。」
魔「世界の維持っていってもたくさんいると楽ってだけで、場合によっては力がある魔神が1人いれば神様が完全にこの世界を忘れてもその機能は果たせるらしいぞ。」
勇「力がないとだめなのか?」
魔「弱いと体がもたないからな。」
勇「次回は『お風呂上りに冷たいものを』『大差ないとか思ってるんですよ』だな。」
魔「アマ姉……まだ帰らないのか……。」




