『その呼び方はやめて?』『魔王ちゃんの種族』
●その呼び方はやめて?
執務室で各地の魔族の行動を書類で見ていたらエールが慌てて部屋に飛び込んできた。
「ま、魔王様大変です!!」
「え?何?」
「ご兄弟が来ます!!」
兄弟とはこれまた面倒な。
「また魔王の座を狙ってお兄様が奇襲でもしてきたの?いつものお兄様ならどうせ弾かれるだろうから無視でいいと思うけど。」
「おい待て。お前兄弟がいたのか?初耳なんだが。」
勇者が目をぱちくりさせながらそんなことを言う。
まあ兄弟といっても仲がいいわけでもなく、普通の兄弟というわけでもない。種族の数が少なすぎて互いを兄弟と呼んでいるだけである。血も全く繋がっていない。
「違うんです!!お、お姉さまが、長女のアマネ様がこちらに向かってます!!」
「うえ?!あの方、殆どのことに興味ないのに何の用なの?!」
「誰だそいつは?」
「お姉様はこっちに敵意がないから入ってきちゃうし……。とりあえず外で出迎えます!!」
「だから誰なんだそいつは?!」
流石に今回は勇者の質問に丁寧に答えていられない。
私は慌てて城の外に飛び出すことにした。エールは緊張した面持ちで、勇者は困惑した面持ちでついてきた。
そして外に出た瞬間軽快なラッパの音が響き、天空から長いウェーブのかかった銀髪の女性がブランコみたいなものにものに乗って降りてきた。そして私を見つけるとにっこり笑って
「久しぶり!私のあかちゃん!!」
と大きな声で言い放った。
●魔王ちゃんの種族
「おま?!姉だと言ってなかったか?!母親なのか?あれが?!」
「姉だよ!!私が何回言ってもあの呼び名を改めないだけで姉!!」
「じゃあ、あかちゃんって何なんだ?!髪の色か?!」
「私の別名の一部だよ!!」
「別名だと?!ここにきて新要素多すぎだろ!!」
「私だって混乱してるんだよ!!」
そう言いながらも視線を空中のお姉様に戻す。お姉様はニコニコしてこちらに手を振っていた。
因みにお姉様の空中ブランコ的なものは何か天使っぽい感じのものが上から吊るしてくれてます。
「っ!!久しぶりです、お姉様!!その呼び方、やめくださいって言ってますよね?」
「うーん。確かにシューちゃんでも可愛いけど、あかちゃんの方が可愛いでしょう?良いじゃない、私はあなたの名付け親の一人よ?赤壁なんて名前にしなかっただけ良かったと思ってもらわなきゃ。」
お姉様はふわりと大きな真っ白い羽根を広げて空中ブランコから離れる。
「それに、お姉様なんて複数人を指す呼び方をしないで欲しいわ。アマ姉って呼んで良いのよ!」
私の横で勇者が私とお姉……アマ姉を見比べてつぶやく。
「え?お前って種族天使だったのか?確かに羽はあったし素直でちょろくて可愛くて純粋無垢な部分もあると思ってたけど」
「誰が天使だ。誰が。」
静かにツッコんだのだがアマ姉は聞き逃さない。
「そうよ!私こそが天使!!そしてあかちゃんは私にとって天使に近い存在です!!」
見せつけるように羽を広げ、胸を張り、堂々とそう宣言する。なんでこんなに堂々と嘘をつくのか。
「アマ姉!!私たちは魔神でしょうが!!」
私は勇者に向き直る。
「私もアマ姉も魔神!魔の神と書いて魔神なの!!」
断じて天使ではありません!!
「ま……じん?」
勇者は眉を顰めてつぶやいた。
勇「ここにきて新要素多すぎじゃないか?」
魔「新要素というか、私の設定についてオンパレードというか。アマ姉がいる間は新情報がバンバン出まくるぞ。ギャグ回でも日常回でもなく、情報回という感じかもしれない。」
勇「ところでシュキ、アカちゃんってどうなんだ?その呼び名。」
魔「私もその呼び方はやめてほしんだけどね。兄弟の何人かが主に呼んでくるんだよね……。あ、ちなみにエールとかは私が魔王になる前はヒメさまって呼んでたよ。」
勇「お前の名前はどうなってるんだ……。」
魔「魔神族の名前については次の次ぐらいの話で一応説明が入るはず……多分。」
勇「多分……。」
魔「はい!次回は『魔人も魔神も、まじんなので』」




