『魔人エール』『悪魔ブール』
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●魔人エール
今日の宣戦布告を中止にしたんだから、少なくともエールとブールには事情を追及されるだろう。
憂鬱な気分のまま私は部屋から出た。
とりあえずは朝ご飯を食べたい。
「はい。ご飯の前に事情聴取ですよー。ね、魔王様。」
そんな気はしてました。メイド服を着たエールがニコニコ笑いながら食堂の前に立っている。
「はい……。えっと、寝室の警備が心配って以前エールもブールも言ってたじゃない?」
「言いましたね。でも魔王様が乙女の部屋なんだから一人にしてって言ったので引き下がった話ですね。」
そうなんだよ。今一応乙女の部屋には自称勇者の不審者がいるんだけどね。
「そ、それでペットなら部屋に入れても良いかなーって思ってね。護衛用のペットを飼うことにしたの!!」
私にしては一息であんまり怪しくない風に言えたような気がする!!心の中でガッツポーズをとる。
「護衛用のペット……。とりあえず見てみないと何とも言えないんですが……。」
見られると明らかに面倒である。
青いマント纏った勇者っぽい見た目の人間が部屋にいるとなると私の趣味が疑われるというもの。
「えっとね!!まだ私にも慣れてないから、他の人を見たら噛みついたりしちゃうかもだし!!」
「それなら尚更。上下関係というのを分からせませんとね?」
ニッコリ笑うエールは、さすが魔人という威圧感を放っている。
基本的に力に物を言わせるところがあるからね、魔人。
「ペットの躾は大事ですからね!」
エールはそう言って私の手を取る。
必死に引き留める言い訳を考えようとするけれど、思いつかない。いや、もういっそエールには全部話したほうが良いかもしれない。少なくともブールに知られるよりは随分マシなはず
「呼びましたか?」
……その声に振り返ればニッコリ笑ったブールが立っていた。
●悪魔ブール
「ひぇ。」
「魔王様、エール、お二人だけで随分と楽しそうですね。」
もう一人の私の側近が、今目の前でニッコリしている悪魔のブールです。
笑顔だけど何かめちゃくちゃ黒いオーラが溢れ出してます。
「今から魔王様の部屋のペットを見に行くんですよ。」
ニコニコしながらエールが答える。エールの笑顔は黒さが見えにくいから意図が読めなくてこれはこれで怖い。いや、黒いオーラ全開なブールも大概だけど。
「ペット、ですか。」
ブールが私を見て笑みを深める。
「僕たちに何の相談も無く、宣戦布告を中止にして、ペット?」
ひいいいい!!心の中ではめっちゃ謝ってるけど、私はこれでも魔王だ。
ここで謝る必要はない、はず!
「そう。ペットよ!ユーシャって名前なの。」
「「ユーシャ。」」
二人が名前を繰り返して嫌そうな顔をする。
「何故でしょう。本能的に拒否したくなる名前ですね。」
「ネーミングセンスの問題じゃない気がしますね。改名しましょう。今すぐに。」
確かに本能的に拒絶したくなるのは同意する。けれど引き下がるわけにもいかない。
「そ、そうよ!なんか本能的に拒絶感を覚える名前!!さすが魔王でしょ!!」
……なんで二人とも本気で嫌そうな顔するの……。
「とにかく尚更そのペットを確認しなければいけませんね。」
「その名前がピッタリなら捨ててきましょう。」
二人が私の横を通り抜けて私の部屋に向かっていく。既に私の部屋は目前だ。
「ちょ、待って!待ってよ!!」
この二人があれに出会ってしまったら、多分戦闘に発展する。
正直私が勝てないあいつにこの二人が敵うわけもない。
(この二人が傷つくのはやめて欲しい!!)
私は二人の前に立ちはだかる。
「魔王様?!」
「へえ?そこまで見せたくないんですか。」
驚くエールと一層黒いオーラが増すブール。正直この二人の前に立ちはだかりたくはない。
(それでも!この二人を守るためなら―――!!)
「魔王、朝食は」
「「「!!??」」」
私の努力空しく、私の部屋から噂のユーシャがひょっこり顔を出した。
魔「お前、約束は守るとか言ってなかったか?!」
勇「守るつもりだったんだが、さすがに餓死は不味いかと思ってな?」
魔「最初から勇者が魔王城の食料を当てにしないでくれる?」
勇「次は『コミュ力の問題ではない』だな。」
魔「何をやらかすんだ、お前。」
勇「やらかす前提か。」
魔「今までやらかしてない回、ほぼないよね?」
勇「……そうか?」
魔「そうだよ!」




