『ぷるぷるしたお菓子』『やられる前にやるのは戦略の基本』
●ぷるぷるしたお菓子
その実験の結果できたのが
「これ?」
目の前には黄色い物体。上には茶色のソースがかかっている。
「おやつだ。もちもちも良いが、プルプルもどうかと思ってな。」
「ぷるぷる?」
渡されたスプーンで黄色い物体をつついてみれば押された分だけ形を歪めるのに崩れることなく、スプーンを離せば勢いをつけて元の形に戻った。
「弾ける弾力!」
「製品としては問題なさそうだな。」
「ないですよ!あ!今日はそのまま召し上がってもらってますけどこの前クリームの開発も成功したので今度はもうちょっとデコてますよぉ!」
ミンムーがそんなことを言うので今後のおやつに期待が高まる。というか主にお菓子を作ってもらってるせいでもはやシェフじゃなくてパティシエっぽいね?
「とにかく召し上がれ!」
「そうだね。勇者も食べよう。」
「そうだな。ご相伴させていただこう。」
スプーンでつつくのでは無く、思い切ってその本体に切れ目を入れる。
一口分スプーンに掬う。まずは黄色い部分だけを味わおう。そう思って黄色いところだけを掬った。そしてスプーンを口に運んで
「!!」
「うん。しっかりプリンだな。」
「ツルってして、甘くて、でもふんわりじゃなくて弾力があって」
「それがプルプルだ。」
「ぷるぷる!」
何これ、新しい!!
甘いのはパフェとかクレープと同じなはずだけど、口触りが明らかに違う!!触感が、喉越しが楽しい。
「上にかかってるちょっと苦いけど甘いソースも美味しい!」
「これで全体の味を整えているんだろう。」
私が初めてのプリンに感動している横で勇者は凝固性に問題は無さそうだとか、起泡性に問題がないなら次はケーキに挑戦をしてもらいたいとか言っていた。
「ていうかプリンをクレープやパフェに入れるのもありなのでは?!」
「それに気付くとは……さすがだな、魔王。」
●やられる前にやるのは戦略の基本
「さて、クリウスよ。お前を殺したヤバい奴が賢者だってことは分かったけど、結局そいつが敵って感じでいいのか?お前が言う世界を救うためにはそいつを何とかすればいいのか?」
「世界を救う基準が分かっていないから何とも言えないが、おそらくはそうだろう。」
「石板はコツコツやるしかないからな。で、その賢者の目的はなんだ?」
「人間界を豊かに、発展させることだな。」
「別にそこまでヤバいことは言ってないような?」
「あいつの計画は人間界の経済を回すこと。魔界からはとれるものを全部とっていくつもりだ。」
「魔王としては見過ごせないこと言ってるな?」
「魔力を含んだ魔族の部位は良い装備品や装飾品の材料になるからな。」
「人間界の経済のために、魔界の命を狩ろうって?」
「魔界を骨の髄まで喰らい尽くしたいんだろう。」
「そんなこと、誰が許すものか。」
「もちろん理由もなくそんなことをするのは良心が痛むだろう。人間にだって良心というものはある。」
じゃあ賢者は動けないだろう。だって私たち魔族は人間を一方的に殺したりしてない。
……一部のチンピラはいるだろうけど、それは人間だって同じだ。
「何もない大地に後から生み出され、生存を許されている魔族。魔王が立ち上がり、人間に宣戦布告をした。理由としては十分だった。」
「は?」
「それだけで人間は倫理観に目を瞑れる。だって自分の得になることだから、良心さえ満足させれれば反対する理由はないだろう。」
「嫌な心理ついてくるな?!」
「そんなことを考える賢者なんだ。」
「嫌な方面に賢さが高い。」
さすが賢い者と書いて賢者である。
「そしてあいつは魔王を作り出して宣戦布告をさせたいと思った。」
「……クリウス、それは……。」
「まあ、いきなり王がいなかった魔界に魔王を誕生させようってなった理由だな。」
そうして私が魔王になったと……。
「私嵌められたって感じ?」
「まあ平たく言えばそうだな。」
「魔族が人間の手のひらでコロコロされてるー!」
「漢字にしたら洒落にならないな。まあ、幸い今回お前は宣戦布告をしてない。だから賢者も大義名分がなくて大々的に魔族を殺しにかからない。」
こんなんなら魔王の座なんてお兄様方に譲るべきだっただろうか。
いや、でも、私にも志があって魔王になったわけですし。
「それで、賢者をどうするつもり?」
「……殺処分するしかないんじゃないか?」
「物騒だな?!」
それだと血で血を洗う話になりません?
魔「解決策を考えよう!」
勇「すぐに思いついたら苦労しないんだがな。」
魔「ただでさえ私たち2人で作戦練ること少ないんだから真面目に考えよう?」
勇「……個人的には次回の何とも言えない空気が、こう、もにょもにょするんだが。」
魔「次回に何があるというんだ?!えー……次回は『長生きしたら大分生き地獄でした』『なんでもないこと』か。あー……もにょもにょするのはあれだな?後半だな、これ。うん。」




