『遺跡の石板』
●遺跡の石板
「黒っぽい狼に、青っぽい狼。」
同じ見た目で色違い。
「ヘルウルフとムーンウルフらしいぞ。」
神が直接作ったというだけあって面倒なほど強い。
勇者との手合わせのおかげもあって動きは目で追えるけど、攻撃を当てるとなると面倒だ。回避能力が高いのでスピード重視の攻撃をするしかない。けれど私のレベルで相手に与えるダメージはそこまで多くないので何度も当てないといけない。
(まあこっちはダメージをくらわないからゆっくりでも良いんだけど。)
ちなみに私が一匹倒してる間に勇者は十匹くらい倒してた。
レベル差は十倍もないはずなんですけどね?まあレベルと強さが純粋に比例するわけでもないけれど。
「この黒いローブの物体は?」
「ヘルムーンを信じる者だな。基本的に魔法攻撃をしてくる。あとデバフも盛ってくる。」
遺跡の魔物は、確かに魔物だけど、私のような魔物より作り物っぽい。
「神が作って、そのままだからな。一定時間経つと遺跡に散った魔力が集まって復活するし。」
作られてそのままという感じなんだろうか。
「なんていうか、これが神の使い……天使ってやつなのかな。」
神々しさはややあるけど、全くもって禍々しい。
「どちらかというと神使じゃないか。いや、もっと無生物っぽいが。」
神の人形とか?かっこいい気もするけどやっぱり厨二病っぽさを感じる。
そうしてたどり着いた遺跡の奥地。
「この石板に書かれている文章が神の理想についてだと思うんだ。」
「へー。」
見た感じ小さな神殿って感じだ。
「もっと大きな神殿もあるのか?」
「あるぞ。ここは小さめだが。」
「大きな神殿だったら神様と話せるかもしれないな。」
「お前、神官かなにかだったのか?!」
「違うよ?!あ、でもエールは元々神職だけど。」
「脳筋神職……。いや、今はそれは良い。じゃあお前は何故神との交信が出来るんだ?」
「あー……種族の伝統というか、なんというか。」
「まあ魔族も人間と同じ神を信仰しているらしいから、そういう文化もあるのか……。」
「そうそう。まじんぶんかですよー。」
「何故子どもに言い聞かせるような口調になるんだ。」
「なんとなくだよ!!」
そうか、勇者は私がなんの種族なのかはやっぱり知らないのか。
でも実際、神の真意を聞くなら直接話すほうが簡単だと思う。
「石板石板。」
石板の中身は紙に書き写そう。そう思いながら石板を覗き込む。
創造された楽園に終焉の鐘がなる。
鳴り響く終焉の鐘に創造物は逃げまどう。
そうして鐘が鳴りやんだ時に世界は分かたれた。
天秤が釣り合えば最も良き結果が訪れただろう。
しかし残酷な事実を告げなくてはならない。
闇の企みか、大地の陰謀か、天秤は傾いた。
片割れの世界は無に満ちていた。
「……なんのポエムかな。」
「こういう文章もあるよな。」
「歴史だろうけどね。少し言い方がまどろっこしい感じの。」
「歴史?」
「人間界と魔界。世界は分かたれてるでしょ。」
「なるほど?」
つまりこの石板にはこの世界の成り立ち的なことが書かれてもいるわけだ。
「ていうか、これだと過去の話なんですが。理想の世界って未来の話でしょ?」
「ああ、石板は各地の遺跡にあるからな。」
「あー……そういう感じ?」
魔「各地の遺跡に行って、石板の文字を解読してつなげろってこと?」
勇「まあそうだな。俺はなんとなくしか覚えていないからもう一度確認したほうが良いだろう。」
魔「絶対神様と直接話したほうが良いと思うんだけどね?いきなり大昔の黒歴史の理想を実行されそうになったら驚くと思うんだけど。」
勇「いきなりじゃないだろうし大丈夫だろう。なんたって、俺は神々から加護を受けた世界の勇者だからな。」
魔「神様承諾済みかー……。」
勇「次回は『成長度合いはいかが』と」
魔「『考えてみてよ、勇者様』だな。」
勇「勇者様と呼んだか?良いぞ。もっと呼ぶことを許可しよう。」
魔「タイトルであって私のセリフじゃないので」




