『含脂量が多くて、興奮作用が少なめ』『知らない味が再現できると思うなよ』
個人的にはあともう少しで一区切りなのかな?と思ってますが、勇者が語らないせいで全くタイトルの回収が進みません。1週目の話を勇者が全くしない……。
●含脂量が多くて、興奮作用が少なめ
「つまり魔王様は、処罰とかをしに来た訳じゃないと……。」
「そうだよー。」
疲れてきたので返事が投げやりになってしまう。
「今回はお願いがあって来たの。」
「お願い?!でも俺はお父様の様に毒性も強くないし、精神興奮力とかも兄様たちに比べると少ないんですよ?俺にあるのはこの太った体くらいで……。」
ココはそう言って自分の腹を摘んで自虐的に嗤った。
「確かに植物系の毒は強い武器だろう。けれどお前に頼みたいことは戦闘では無い。」
勇者がそう言って切り出す。
「お前に人間界の植物を育てて欲しい。」
●知らない味が再現できると思うなよ
「人間界の植物……?どうするんですか?魔改造して人間界の自然でも破壊するんですか?」
「意外と悪役として有能じゃね?って、そうじゃない。そうじゃなくて……」
「食べるんだ。」
勇者の言葉にココはキョトンとする。
「それをおりょーりします!」
ウィプスが嬉しそうに火の粉を飛ばした。
「植物を、食べるんですか?」
「ああ。この種を育てて見てくれ。」
勇者はそう言って何かの種を渡した。
「これはトマトだ。そのままでも食べられるし加熱しても、加工しても美味しい。」
「へぇ……。」
ココは種に触れると一歩下がって植物に魔力を注いだ。
あっという間に種から芽が出て、大きくなり、赤い実がついた。
「これがトマトだ。」
勇者はその実をもぎ取るとパッと剣で三等分に切って見せた。
「へ?!」
ココにはその動作が見えていなかったようで、驚いているけれど。
とりあえず勇者が持ってきた種を城にいた魔族が育てたものだ。多分安全だろう。
そう思ってトマトを口に含んでみる。
「……魔界の味がする。」
人間界のものだと言うから実は期待していたのに。
勇者を見ると勇者は地面に膝をついていた。どうした?
「魔界の味がするな?」
「しますね。魔族は赤ん坊の頃からこの味で育ちますし。」
「魔界の土の味が、魔族のお袋の味だもんな。」
「こんなお袋の味は嫌だ!!」
いきなり勇者が叫んだ。驚いただろ。
「もしかして、味が違いましたか?すみません。現物を知らないもので。」
ココは眉を寄せながらそう謝罪した。
魔「知らない味って想像もつかないからな。再現できるわけないな?」
勇「同じ植物を育てて味がここまで変わる神秘。」
魔「レシピがあるわけでもなかったしな?」
勇「……。」
魔「珍しく落ち込んでやがる……。次回は『台詞と動作はかっこよく見えなくもない』『知り合いに見られるのは恥ずかしいと思っていたようです』『手を振り解ける訳が無い』の3本だ!私がかっこいい感じなノリなんじゃないか!?魔王だし。」
勇「かっこいいというか、恥知らずというか世間知らずというか鈍感というか……。」
魔「お前は常々失礼だよな?」




