一晩寝たら海に誘われた件 #番外編
7月21日
もうループしてから今回で五回目か。私向日葵若葉はそんなことを思いながら午前五時三十分に起きる。今日はみんなで海にいこう、と思いながら計画していたら連絡するのを忘れてしまっていた。7月21日が五回目だと知り私は沖根守にこの事を伝える。返ってくるのは、
「それは若葉ちゃん本人の問題かな」
と言われるだけで別段手伝ってもくれない。行動するのは私しかいないということなのだろうか?さて、午前六時になると私は携帯を取りある人に電話を掛ける。この四回海に誘ってすべて断られた、あの人に。
プルルルル、プルルルル、ガチャ
「もしもし、会原です」
会原と言った少年は寝ぼけた声で電話に出た。
「あ、もしもし亮平くん、おはよー」
私はできる限り元気に言った。けれどこの受け答えは今まで通りと全く同じだった。
「おい、若葉、今何時だと思ってんだ?今すぐに俺の和デートin遊園地を返せ」
和というのは野中和という女の子で会原亮平の彼女である。ていうか毎度毎度思うことなのだが、
「え、亮平くん、夢の中でもデートしてるの?」
「いいじゃないか。夢は自分の世界だから何を見ようが俺の勝手だ」
「それでもいいけど~」
この流れも前回と全く同じだ。
「今日さ、海行かない?和ちゃんを誘ってさ」
とありったけの元気でそう言う。一語一句前回と同じ言葉だ。やっぱり無理かぁなんて思っていると、
「だからあのとき海がいいか山がいいかを聞いたんだな!勿論現実に和と会えるのなら、行くぞ」
「動機は和ちゃんかっ!」
え、今行くって言ったか!今までとは全然違う嬉しい結果となった。
「あ、そうだ、まこを連れていっていいか?あいつも行きたがるだろうし」
「勿論いいよ!じゃあ8時に高校の近くの駅前に集合ね!じゃね」
と言い、私は電話を切るや否や、
「やったー!!」
とはしゃいだのであった。勿論すぐに守ちゃんに和ちゃん、そして亮平くんの友達の岡島正を誘おう、そう思い電話を掛け、その後昼御飯のために料理を作るのであった。
私たちはその後8時に高校の駅前に着き全員が集まることを確認すると江ノ島へ電車で向かった。江ノ電からの車窓は私を含め全員興奮していた(ように感じた)。その後江ノ島の近くの片瀬東浜海岸に着き我々は水着姿になった。特に面白かったのは和ちゃんでどれだけ楽しみなんだよと言いたくなるぐらい更衣室に着くや否や即まっぱになってすぐに水着を装着した。そして、
「みんな遅いよぉー」
なんて言ってきた。いやいや、和ちゃんが速いだけだから。てか私の裸をじろじろ見るでない。
「若葉ちゃんの裸じゃないよ。守ちゃんの裸を見てるんだよー」
どっち道変態だった。そして守ちゃんが、
「うっ、ボクの裸…」
あ、そっか。守ちゃんは変態バージョンの和ちゃんを見たことがないんだ。
「守ちゃん、これは仕方がないことなんだ。和ちゃんは実は変態なんだよ」
「へ、変態じゃないよぉ」
と、二人の裸を交互に見てそう言う。私たちは苦笑しながら水着を着る。ちなみにまこちゃんはというとそっちもそっちで早く着替え終えていた。確か岡島君の妹ちゃんの水着だったっけ?よく似合っている。
そんなこんなで着替え終えるともう既に男子勢は着替えを終えていた。
「お待たせー!」
「お待たせられました…!」
と、亮平くんは私たちの姿を見るや否や見とれていた。
「なにじろじろ見てんだよ、男子たち」
「いやー、一度に四人の水着を見れるのは我々男子にとってはじろじろ見ないわけにはいかないからな、なっ?岡島?」
「お、おう」
「これだから男子は」
と、私は呆れながら言ったが、何故か嬉しかった。するとまこちゃんが、
「お兄ちゃん」
「なんだ?まこ」
お兄ちゃんというのは正確には血縁関係の持たない兄弟であり、亮平くんがとある日に拾ってきたらしい。それがどういういきさつでそうなったかは私も知らない。
「変態」
「な、……」
「wwwwww」
亮平くんは絶句し和ちゃんは爆笑していたが、和ちゃんよ、君も人のこと言えないぐらい変態だから。変態カップルかっ!
「と、とにかく、海に来たんだし、遊ぼうぜ!」
「ねえ、亮くん」
と、和ちゃんは亮平くんに声を掛ける。
「ん?なんだ?和。変態だって言いたいのか?」
だとしたら爆笑する自信がある。だが、
「ち、違うよ!その…私、似合ってる?」
「とてつもなく似合ってます、その水着(即答)」
なんか、ムカつくな、このシチュエーション。
「これこれ、リア充め、いちゃいちゃするんじゃないわよ」
「おい、若葉、茶化すなよ」
「茶化したのそっちだから、海で遊ぶんでしょ」
「お、おう」
と、若干申し訳なさそうな声が聞こえたところで
「じゃあいっちょいきますか!」
「「「「「「オー!」」」」」」
そのとき私は夏の匂いを感じた。暑くてしょっぱい潮の香りが。
それからは海で水をかけあい、泳ぎ、亮平くんを砂浜に埋めたり、私の作ってきたサンドイッチを食べ、ビーチバレーをして岡島くんの活躍により25-7で勝ったり、かき氷を食べたりと楽しい時間を過ごした。そんなうちに夕方になり和ちゃんが帰る準備を始めたところで私たちも着替えるために更衣室に行き着替え、片付けてその場をあとにした。違う、違うよ。私のしたいことは、あとはあれをするだけ。でも私はそれをすることはできなかった。そうこうしているうちに江ノ電は終点の鎌倉駅に着き、その後は和ちゃんの海の話に付き合い亮平くんが乗り換えの時に別れ、気づけば家に着いていた。私、本当にこれでよかったのだろうか?そして私は時間に流れるがままに今日を過ごし疲れていたのかすぐに眠たくなり、寝てしまった。
次の日、7月21日、えっ、
そして私のリベンチマッチの物語が始まったのだった。
後書き
ども、モグポクです。本編同様後書き付きということで簡単な謝辞を
今作品は銘尾 友朗様主催の『夏の匂い企画』という企画の参加作品ということでこの場を借りて感謝申し上げます。この企画を開催して頂き誠にありがとうございます
というわけで夏の香りということで今回は『海』というキーワードでひとつ物語を作ってみましたが、いかがでしょうか?夏の匂い、なんか、青春を感じさせそうな感じがしますね。個人の意見ですけど。というわけで今回は次回予告なしなのでここで締めますか
銘尾 友朗様に再度感謝の言葉と共にお読みくださいました読者の皆様方に深い感謝を
それでは~ではまた(@^^)/~~~