世界最強のウルトラレア攻略本持ってる美少女魔道士とパーティ組んだ俺、ダンジョンを秒速でクリアしてしまう
「さて、目撃情報によればもうひとり、恐竜を蹴り倒した者がいるみたいですが…?。」
ぎくーっ。
えー、俺もまさかこの異世界で逮捕・投獄されてしまうのかッ?!。
俺はガクガクぶるぶる震えだしたッ!。
ガクガク((( ;゜Д゜)))ブルブル
とそのとき、
「それは私のことです。」
剣士マトロウシカ氏が一歩進み出た。
「えっ!?」
驚く俺をキッと睨みつけるマトロウシカ氏、俺はその意を悟り言葉をのみこんだ。
黙っていよオムライスよ、私はウォンバット騎士団長に忠誠を誓った身、たとえ投獄されようとも、どこまでも騎士団長と一緒、一心同体なのだ、我々なき後のウォンバット騎士団を頼んだぞ、オムライスよ…!。
、とその目は語っているのだった。
マトロウシカ氏もまたスノコでぐるぐる巻きにされ連れていかれてしまった。さらに、ウォンバット氏の逮捕を受けてギルド「ウォンバット騎士団」は運営の手によりソッコーで削除され、消滅してしまったのだった。
えー、俺はひとり途方に暮れた。
ウォンバット氏は一癖も二癖もある人物だった。そして少々自己啓発が過ぎるきらいがあった。しかし、あれはあれで、この有象無象のモンスターがスパークメントする異世界にあっては、俺の味方になってくれる得がたき大切な仲間だったのだ。
…。
俺はとりあえずシュッと2階の冒険者ギルドに戻り、オムライスのジョブをやめれるか聞いてみた。が、ダメだった。
「違約金が発生します。」
ジョブは基本3年しばり契約であり、それより前に解約する場合30万ゴールドの違約金、さらにジョブ変更する場合、変更手数料20万ゴールドとの事。
30万ゴールドってのがこの異世界でどんくらいの価値なのかよくわからないだが、俺は今、たった1ゴールドさえ持ってないのでムリである。
しばらくこのままオムライスを続けるしかないのか…。
と、そのとき、ひとりの黒っぽい人影が近づいてきた。
黒ずくめのダブダブの服に黒いとんがり帽子、手にホウキを持ち、肩には黒猫がニャ〜ンとのっかっていた。
ど、どっから見ても見るからにコテッコテの魔法使いあらわるッ!。
「自分はさすらいの黒魔導士トッポギっス。この塔のウワサを聞いてちょちょいっと攻略しに来たっス。
オムライスのひと、自分とパーティ組まないっスか?。一緒にてっぺん目指すっス。」
「えっ。えー、俺は見ての通りオムライスなんだが、こんなんでよければ…。」
「オムライス大好きっス。…じゅる。
♪(´ε` )」
おお。なんだかよくわからないが、気に入られたみたいだ。
と、そんなわけでさっそく俺はこのさすらいの黒魔導士トッポギ氏とパーティを組み、塔のてっぺんを目指すこととなったのであった。
「えー。で、ちょちょいっと攻略っておっしゃいましたが…そんなに簡単に攻略できるんです?、たしか、この塔は100階まである大迷宮で…。」
「それ迷信っス。全60階っス。59階にラスボスがいて、そいつが持ってる幻のレア魔道書の初版本ゲットするのが自分の目的っス。」
「そ、そうっスか…やたら詳しいっスね…。」
「攻略本持ってるっス」
、そう言ってトッポギ氏はごそごそと袋のなかから一冊の古書を取り出した。
「わがトッポギ一族に代々受継がれしダンジョン攻略本コレクションのひとつっス。これにMAPやモンスターの攻略法、隠しアイテムやハイスコアの出し方、バグ利用した裏ワザまで全部載ってるっス。楽勝っス。☆〜(ゝ。∂)」
おおっ、なんか知らないが、
スゲー!。
(((o(*゜▽゜*)o)))♡
えー、
かくして、ここから我々ふたりのチート的最速ダンジョン攻略が開始されたッ!。
俺はトッポギ氏の手となり足となり、言われるままに働きに働いた。オムライスなりに、がんばった。
「そこの壁をツルハシで壊すっス」
「はいッ。」
「このゼリースライムはミント味レモン味バニラ味の順番で倒すと隠しアイテム出現っス」
「はいッ。」
「このドラゴンは弱点の背中の第12胸椎棘突起下の指2本分外側にあるポイントを攻撃するとすぐ倒せるっス」
「はいッ。」
「ここは桂馬じゃなくて銀からっス」
「はいッ。」
あっという間に秒速で俺たちは塔の最上階、ラスボスのいるフロアに到達したのだった。