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ダンジョンに自己啓発を求めるのはいかがなものだろうか(前編)

えー、現実世界・渋谷では34階建て商業ビルだったこの建物、こちら異世界では100階とも200階とも言われ、見上げてみても謎の黒い霧に包まれ、なんともハッキリしないのだが、上層階に行くほど出現するモンスターは強くなり、ダンジョン複雑さを増し、セーブポイント見つけにくくなり、データとかバグりやすくなってくため、いまだかつて最上階までのぼりつめし冒険者は皆無、であるという…。


そしてまた、(いにしえ)よりの伝説によれば、この塔のてっぺんにのぼりし勇者、まばゆいばかりの輝く光の光線につつまれ新しい新世界(ニューワールド)を目にするであろう…。、とかなんとか言い伝えられており、いつしか塔は冒険者たちのあいだで「光への塔」、あるいは略して単に塔、と呼ばれるようになったのだとか…。

(ウォンバット氏談)


えー、というわけで、俺はいまヒカリ…えー、もとい、光への塔の11階にいた。


11階までは2階からリフトに乗ってひと息に来ることができた。11階は丸天井のだだっ広い場所で、たくさんの冒険者たちでワイワイ賑わっている。このへんの構造も現実世界とよく似てるみたいだ。

もとの世界でコンビニがあった場所には冒険者向けアイテムショップがあり、ここでまず必要なものを買いそろえて、さらにリフトで17階まではシュッと上がることができ、そこからは一階ずつひたすら地道にダンジョン攻略、ってかんじらしい。


このアイテムショップで、なにか強そうな武器でも買えればいいいんだが…。

しかしそもそも、オムライスとなった今の俺の攻撃力とか守備力やなんかは、一体どんなもんなんだろうか…?。


えー、というわけで、俺は自分のステータスを確認してみた。


職業:オムライス

レベル:1

HP:2

MP:0

攻撃力:2

守備力:1

すばやさ:1



えー、

…。

俺は途中でステータスをそっ閉じした。


1とか2とか、ずいぶん数値少なめ感が否めないだが、気のせいだろうか?。これって強いの?


「いや、おそらく最弱の部類だろう。」

ウォンバット氏が言った。


さ、最弱?。

じゃあなんでそんなに熱烈にオムライスおススメしたわけ?

そ、そうか、えー、要するにこれはあれか、最初は最弱キャラだが、ひたすら地道にレベルアップ続けるとMAXレベルで灼熱級の最強スキル覚えて無双できる、とかってやつなんだな!?


「いや、オムライスは、いかなるスキルも身につかない。」

ウォンバット氏はにべもなく言った。


…。

えー、じゃあなんだ、オムライスだから食べものに困らず大災害でも生き延びれる、とかいうサバイバル物語なの?

あるいは「異世界のダンジョンでオムライス屋はじめました」、で大儲けみたいな?

じゃなければオムライスにはいかなる攻撃も効かないみたいなチート技的やつ?


「どれもハズレだ。オムライスだって腹は減るし、そうそうオムライス屋が儲かるもんじゃない。チート的やつなんてのは聞いたこともない」

ウォンバット氏はキッパリと言った。


えー、じ、じゃあ、一体どうしてオムライスなんておススメしたんだッ?


「うむ。それは身をもって知るのが一番いいだろう。ほら、あそこに、ガラの悪そうなお化けキノコたちの群れがいるのが見えるか?」


そう言ってウォンバット氏が指差す方向には、たしかに数匹のお化けキノコたちが群れており、どうやらずいぶんと上機嫌、酒盛りして騒いでいる様子だった。


「キノコ連中め、このような公共の場で酒を飲んで騒ぐなど、もってのほかだ。くそバカどもめ。死んでしまえ。ちゃんとゴミ持って帰れ。さあ、腕だめしに、お前らこんなとこで酒盛りして騒ぐんじゃない、とビシッと注意してみたまえ!。」


「は、ハア…。」


えー、いきなり腕だめしと言われても困るだが、…、まあ、注意するだけだしな…。いきなりバトル(戦闘)になることもないだろうし。

いっちょビシッと言ってやろうじゃないか?たかがキノコじゃないか。この異世界じゃ生きて動いてるみたいだが、元の世界じゃ食材にすぎないやつらじゃないか。


俺はお化けキノコたちの群れにゆっくりと近づいていき、声がけした。


「あの〜、あまり大きな声で騒がれますと、他の冒険者さんたちの迷惑になりますので…。」


「…あ?」


一匹の図体のでかいキノコが俺をギロリと睨みつけて言った、

「おれたちがメイワク…だと??」

もってた酒瓶を壁にグワッシャー。

飛び散るガラス片。


「えー、…いや、その、あのー…」

「ゴルァ!!」

ボゴオオオッッシュ!!

うわああああ???!!!


キノコのパンチが一瞬で俺の体の半分を木っ端微塵にふっとばした。

飛び散る卵とチキンライス。


あわ、あわわわ…!!

ちょ、ちょっとタンマ…!!


俺は恐怖で腰が抜けてその場にへたりこみ、ブルブルふるえだした。


「さらに逆からゴルァ!」

容赦なきさらなるパンチが俺の体のもう半分もコナゴナにしてしまうのか、と思われた万事休す的そのとき、

ヒュッ!!


ズッドゴオオオン!

バタバタ

バタンQ〜。

「??」


気づけばお化けキノコたちはみんなブクブク泡をふいてぶっ倒れていた。


目にもとまらぬ速さでキノコたちをぶっ倒したのは、ウォンバット氏…とよく似た装備を身につけた、見知らぬ剣士であった。

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