表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔物使いの娘  作者: 天都ダム∈(・ω・)∋
第八章 ミアスピカの双星

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

137/168

願うということ Ⅱ


 ᛊ


 ――――竜は、判断を人に委ねた。

 その者になら、決める権利があると思った。

 だから、その道を選んだのであれば、竜もまた、そうしよう。


【グル、ォ――――――】


 竜は、高く高く、空へと舞い上がった。

 人の住まう地がある、人の住まう家がある、人の住まう街がある。

 全て、全て滅ぼそう。人の子がそれを選んだのなら。

 ほとんどの力をあの子に()()()しまったが、それでも、わずかに残っている。

 そして、竜にとってのそれは、人では抗えぬ、終焉と同じ意味を持つ。


【ゴ――――ァ――――】


 その火球は、まず眼前の街を滅ぼすだろう。炎は消えず、大地を走り続け、この大陸全てを焼き払うだろう。

 やがて、海をも蒸発させ、なおも消えず、大陸を巡り、星を焼き尽くす――竜の裁き。














『――――――それがお前の選択か、ヴァミーリ』


 ……懐かしい声が、聞こえた。それは竜にしか使えない言語で、人には意味の伴わない咆哮に聞こえたはずだ。

 彼女との記憶以外、ほとんどが欠落した竜が、かすかに記憶に残す、その声は。


『甘えるなよ赤竜、サフィアリスが遺した物は――まだ、ある!』


 赤竜の放つ熱を相殺するほどの、膨大な冷気。

 蒼銀の体毛、二股に別れた尾、巨大な氷柱の如き、一本の角。

 見間違えるわけもない、それは、かつて彼と共に世界を食らった同胞。

 蒼竜アイフィスは、大きく吼えると、竜の骸に、その尾を叩きつけた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ