六話
遅くなってしまい、スイマセン・・・
「・・・え、嘘でしょ?」
近江が目を見開く。他の人々も「嘘だろ?」と、同様が広がる。
「青柳、どうなんだよ?」
高御堂が聞くが、青柳は青くなってしまい口を開こうとしなかった。
「俺、行ってくるよ」
久里がそう言った途端、青柳が「ダメだ!」と、大声で叫んだ。
「見ちゃ、ダメだよ・・・。あれは・・・」
青柳の顔面は更に青くなっていた。青柳のそんな形相に、「ふざけんじゃねぇ!」と、叫んだヤツがいた。車谷だ。
「原は死んだのか?あ?」
「・・・」
青柳は黙っている。もうそのことについて喋りたくないのだろう。
「・・・俺、やっぱ行くよ。自分の目で確認するよ」
高木が青柳に言った。青柳は「勝手にしろ・・・俺はもう嫌なんだ・・・」と、返した。
俺が一人で行こうとしたら、久里も付いてきた。
「久里・・・いいのか?」
「うん」
「何で・・・」
「心の中で、原は死んでないって思っているのかもね。だから、行くのかも」
──俺だって、原が死んだとは決めつけてない。
高木はそう思った。もしかしたら、怪我をしていて、それを青柳が見間違えたんじゃないか?そう考えてもいた。その反面、原はもうこの世にはいない、と考えてもいた。天邪鬼である。
「・・・酷い・・・」
二人で呟いていた。
原は原型を留めていなかった。頭に穴が開き、そこから脳漿が飛び出ていた。
「・・・戻ろう。青柳が青ざめていた理由が分かった」
「ああ」
二人で軽く会話した。まさにそのときだった。
パァン!パァン!
銃声が皆のいた方から聞こえてきていた。