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17生徒会お茶会(7)

 ━━このごたごたした中でも、水野さんは変わらない。

 一方的に霧島がわめき続けるのを、清坂が懸命になだめようとする。脇で腕組みしている難波と、割り込もうとして跳ね返される更科。羽飛と古川も、

「あのなお前な、ここで言っていいことと悪いことがあるぞ。とにかく座れ」

「そうだよ霧島、あんたもいろいろあって疲れているのはわかってるからさ」

 うまくクールダウンさせようとしているのだが、霧島の目はひたすら佐賀はるみだけをにらみ据えるのみ。その視線の先にいる佐賀は言い返そうとせず隣の新井林の手をしっかりと握っている。そっと佐賀の背中をさするようにしている水野さん、そして雅弘だけがきょとんとした顔で霧島を見上げている。

「あのさあ、ちょっと聞きたいんだけど」

 ぽかんとした声で雅弘が問う。

「写真撮ってあるのかなあ」

「なんと」

「だから、不思議なんだけど、そんなことあったっていう証拠があるのかなと思っただけなんだ」

 新井林の態度だけが不可解だった。もちろん隣にいる佐賀の手をとっていることには代わりないのだが、かつてのような激昂の様子はない。本来であれば名誉毀損とばかりに即座に張り倒してもいい内容をぶつけられたのだ。乙彦だったら即、

 ━━その場でストレート食らわせる。嘘であれば、許される。

 そのくらいの屈辱ではなかろうかと思う。なのに、なぜか新井林の表情は堅いばかりでひたすらにらみ据えているのみだ。

 ━━妙だな。

 違和感が正直あるが、次に霧島が返した返事に絶句のみ。

「ご自分の胸に聞いてみてくださいよ、佐川さん」

 はっと、そばにいる佐賀が雅弘を見つめる。思いきり誤解を招きそうな態度だ。それでも新井林だけはそのまま動かずにいる。

「ぼくはあなたが佐賀さんと一緒にいちゃついていたところを何度も見ているんですがそれが証拠にはならないんですか」

「どうして俺なのかわかんないけど、そんなこと全然知らないよ」

 雅弘は全くもって冷静に、きょとんとした顔で続ける。

「俺もそういう噂があるんだってことをおとひっちゃんや新井林くんから聞いて、びっくりして来たんだよ。俺だってそれ困るもん。さっきたんが生徒会長で苦労しているから、おとひっちゃんに助けてもらうといいよって提案したのは確かに俺だけど、それと佐賀さんとどう繋がるのかわからないよ」

「いい面の皮ですね。証拠はありますよ。僕の姉経由で入手いたしましたそちらの手紙、それが動かぬ証拠でしょう」

「今あるの、それ、見たいな」

「姉に取り上げられましたので残念ながら今はございませんが、必要であれば姉に言いふくめて」

 ここまで霧島が口走ったところではじめて難波が近づいた。

「お前の姉はもう関係ない、巻き込むな」

「これはこれは難波先輩、うちの姉は部外者ですか。まあそうですね」

 鼻持ちならない口調はまだまだ続く。


 乙彦の後ろで泉州と阿木が相談しあっている。

「これまずいよ、どう考えてもあの子黒いじゃん」

「白黒はっきりさせるためにゆいちゃんを連れてきてもらったほうがいいよ絶対」

 名倉ひとりじっと様子うかがいに徹している。こいつこそ全くの部外者だ。

 本当であれば名倉に今の展開の感想を聞いてみたい。乙彦からしたら雅弘は全くもって後ろ暗いところがないからああいうことが言えるのだろう。長年の付き合いだからなおのこと、雅弘の性格も熟知しているから疑うところなどない。しかし、霧島の言う、姉経由の証拠とはなんなのだろう。それを明確にしてから話を進めたほうがいい。乙彦が挙手して発言しようとした時だった。


 不意に霧島が振り返り、すすと奥の席へと向かい、あらためて戸口を眺めるようなしぐさをした。店の人が入り口で様子見し、

「お連れ様ですか?」

 と、なぜか霧島に問いかけた。

「はい、すぐいれてください」

 不敵な笑いを浮かべつつ、霧島は招くようなしぐさをし、くるっと背を向けた。いったいなにがしたくてこんな訳のわからないことをしているのかわからない。

 

 おずおずと入ってくる気配あり。霧島は振り返り、その主に呼び掛けた。

「立村先輩、お待ちしてました。僕は正しいんです!」

 





 

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