遅すぎた初恋。
愛を知らないと思っていた。
誰かといても、どこか満たされないまま。
人を好きになってはいけないと思っていた。
そんな私に、一筋の光が差した。
これは、遅すぎた初恋の物語。
愛を知らない人間だった。
それに気づいてしまったのは、つい数年前のこと。
彼氏がいた期間はきっと、他の人より長い方だと思う。
一番長い人で八年。
短くても、二年は続いていた。
それでも私は、本当の愛を知らない。
男性にとって、手軽な私なのかもしれない。
もし私が、本当に綺麗な女だったら
きっと誰も、簡単には声をかけてこなかったと思う。
私は愛嬌があると言われる。
きっと男性にとって、ちょうどいい女だった。
恋愛ってなんだろう。
そんなことを、ふと考えていた。
もう無駄な時間を割くのはやめよう。
そう思って、私は恋愛をするのをやめた。
寂しさを埋めるための恋愛なんて、人生にとって無駄な時間だと思った。
そんな私が、
ある日、突然恋に落ちた。
これは、そんな話。
ラブソングを聴いても、何もわからなかった。
共感なんて、できなかった。
目が合った瞬間、恋に落ちる。
そんなものは、ドラマの中だけの話だと思っていた。
彼のことは、ずっと前から知っていた。
グループの集まりの中で、何度も言葉を交わしたこともある。
でも、ある日、気づいてしまった。
「これってもしかして」
その一言が、胸の奥に引っかかったまま、離れなかった。
私はこの人のことが好きなのかもしれない。
人を想うという気持ちを、初めて知った。
それもとても嬉しくもあり、切ない想いだった。
今まで、付き合う人を決める基準はただ一つ。
「私を深く愛してくれそうな人」
それだけだった。
私は自分を愛せない。だから自分を愛してくれる人を探していたんだ。
過去の私は、ただ寂しかっただけなのかもしれない。
告白されるたびに思っていた。
この人は、私の何を見て、好きだと言っているのだろう。
お手軽な商品みたいに、見えていたのだろうか。
私は今さら、彼に「好きです」なんて言えない。
気持ちがばれないように、普通を装っているだけ。
「人として大好きです」たったその一言だけが私が勇気を出して言えた一言だった。
でも、私が思っているのと同じように
彼もきっと
「俺の何を知って、好きだと言える?」
そう思うんじゃないかなと考えてしまう。
彼は、とても誠実で、モテる人だから。
会える日は、それだけで、少し特別になる。
お友達からの誘いがくると、少しだけ嬉しくなる。
そこに、きっと彼がいるから。
周りの人は、私の態度は分かりやすいと言う。
騙されやすそうとか、心配になるとか。
「壱果にだけ、ちょっと態度が優しいよね」
そんなことを言われたこともある。
でも、そんなこと期待なんて出来ない。
期待すればするほど、辛くなるから。
月に一回、会えるかどうか。
それでも、そのたった一日が、
冷めきった私の心に、そっと灯りをともす。
まるで、毎月クリスマスが訪れるみたいに。
LINEを、たまに送ってみる。
たまに来る絵文字に、ドキッとしてしまう。
嫌われない程度にどんな文章を送ろうか考えてしまう。
一語一句、うざいと思われていないか。
何度も打ち直して、
気が付けば、送れないまま数日が過ぎて
そのままやめてしまう。
結局、当たり障りのない言葉だけを送る。
迷惑にならないように、疑問系の文章も送らない。
振られる事よりも、嫌われることの方が1番怖い。
進んでいる気がしているだけで
私と彼の関係は
何も進んでいなかった。
それでも
好きな気持ちは止まらなかった。
もしも彼が私に振り向いてくれたら、
それはきっと、奇跡だと思う。
両想いってだけで、奇跡だと思う。
宝くじが当たるよりも
彼が少しでも私を考えてくれる時間があったら嬉しいな、なんてこと考えてしまう。
目が合うだけで逸らしてしまう。
微笑んでくれるその一瞬がどうしようもなく嬉しくて。
だから私はまた誘いを待ってしまう。
大人になってから、初恋をするなんて思わなかった。
本当のあなたが知りたくて、
本当は、二人で会ってみたい。
でも、自分を知られるのが怖い。
私は、恋愛経験はある方だと思っていた。
でも人を好きになるのはこれが初めてだった。
好きな人への誘い方なんて、知らない。
想いが大きいからこそ、伝えられない。
好きだと、言えないまま。
それでも
この気持ちは、「本物」だと気づいてしまった。




