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偽物勇者とメイド天使  作者: ああああいい
第3章 教会編
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第84話 私の夢

「私の名前はアナスタシア。ケテル派の教祖をしています」


 団員Aが自己紹介をする。


「いや、ちょっと待て。シスターって男でもなれるもんなのか?」


 冒険者のひとりが団員Aを見て言う。


「えっ、いや。私は・・・」

「アナスタシア様。失礼します」


 シスター達が団員Aを取り囲んでわちゃわちゃする。

 そして離れた。


 そこにいたのは・・・シスター服を着た可愛いらしい女性だった。


「ふうー、びっくりした」


 団員A・・・アナスタシアがつぶやく。


「団員Aが女性・・・?」


 冒険者達が驚く。

 だが、それ以上に驚いている者達がいた。


 ハートの盗賊団である。


「あいつ女だったのか」

「気づかなかったっすね」

「いや、それより教祖の方がやばいだろ」

「俺達、不敬罪とかになったりして・・・」


 盗賊達が慌て出す。


「はい、みなさん。落ち着いて。話を戻します」


 アナスタシアが場を仕切る。


「まず、一つ・・・感動しました」


 アナスタシアが話し始める。


「マスター、リズさんを受け入れたフォザリア王国のみなさん・・・その種族を超えた愛に私はひどく感銘を受けました」


 アナスタシアがギルドにいる人達を見回す。


「私はそんなみなさんと共に歩んでいきたいと思いました」


 アナスタシアが自身の胸に手を当てる。


「私には夢があります。人と魔物が差別なく手を取り合っていける世界を作るという夢が」


 アナスタシアが力強く夢を語る。


「ギルドのみなさん・・・どうか私と同じ夢を見ていただけないでしょうか」


 アナスタシアが頭を下げる。

 それにシスター達も倣う。


「あ、頭を上げてくれ。アナスタシアさんにシスターのみなさん」


 ランドルフがシスター達に言う。


「ランドルフさん・・・ありがとうございます」


 シスター達が顔を上げる。


「その・・・気持ちは嬉しいし、願ってもない話ではあるんだが・・・」


 冒険者達には一つはっきりさせなければいけないことがあった。


「俺達は冒険者だ。ときには魔物と戦わなきゃいけないこともある・・・だから、あんたらと同じ夢を見続けることはできない」


 ランドルフがはっきりと明言した。


「それに関して少し・・・いや、大きな語弊がある」


 ベルがアナスタシアに代わって答える。


「私達のいう共存は全ての魔物に対してではない。あくまで人間に危害を加えない善良な魔物に対してだけだ」


 ベルがケテル派の掲げる魔物との共存について説明する。


「ギルドの討伐対象となる魔物の多くは人類に害をなす魔物だ。むしろ、そういった魔物は積極的に排除すべきだと考えている」


 ベルが自身の考えを話す。


「私は魔物だが人間が好きだ。人間と共に生きていきたいと思っている」


 ベルが拳を握りしめる。


「だから、それを邪魔する・・・人に危害を加える魔物は許さない」


 ベルの目は魔物への怒りに満ちていた。


「大丈夫ですよ。ベルが良い子だということはシスター達みんな分かっていますから」


 アナスタシアがベルに抱きつく。


「アナスタシア様・・・恥ずかしいから離れてくれ」


 ベルが照れながら言う。


「あっ、ごめんなさい。つい・・・」


 アナスタシアがベルから離れる。

 そして冒険者達に向き直す。


「世の中には善い人もいれば悪い人もいます。それは魔物も一緒です」


 アナスタシアが話す。


「大切なのは善悪の判断。私の大好きなこの国の人達はそれが正しくできている・・・私はそう思っています」


 アナスタシアがとびっきりの笑顔を見せた。

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