第83話 ケテル派の教祖
「私達、ケテル派のシスターはずっと前からこの国の国王から誘いを受けていた・・・この国にケテル派の教会を建てないかと」
「国王様がそんなことを・・・!?」
ベルの言葉に冒険者達が衝撃を受ける。
「お前達の国王は言っていた」
『この城下町のギルドマスターは魔物で街中の人から愛されている。君たちが掲げる魔物との共存にも当てはまるはずだ』
「しかし、冒険者ギルドのある街にケテル派の教会が建てらた前例はない。なぜなら、冒険者は魔物を倒すからだ。これは私達の教義である魔物との共存と相反する」
ベルが説明する。
「しかし、冒険者ギルドのギルドマスターが魔物というのも前代未聞だった。そこでケテル派は教祖自らこの街のギルドに潜り込み、ギルドをしいてはこの街を内側から視察していたのだ」
ベルが衝撃の事実を明かす。
「この街の人間達が私達と同じ理想を共有できるか確かめるために」
ベルの言葉を聞いてギルドの冒険者達がざわつく。
(・・・つまり、俺達の中にケテル派の教祖が紛れている?)
そんな冒険者達の思考に答えるように声が聞こえてきた。
「ええ、ベルの言う通りです」
それは女性の声だった。
「私はずっとみなさんのことを見ていました」
声の主がゆっくりと冒険者達の前へと歩いていく。
冒険者達には教祖の正体に心当たりがあった。
その人物は元シスターだった。
彼女は冒険者が怪我をすればすぐに治療をしてくれた。
それだけじゃない。
普段から慈善活動に勤しみ、街で困っている人達を助けていた。
(彼女は自らをパテル派の元シスターと名乗った。でも、よく考えるとそれはおかしい。なぜなら・・・)
パテル派のシスターの教義は魔物と魔王の子の討伐。
つまり、ルーにゃん達は討伐対象・・・敵だ。
それなのに、彼女は教会の詳細を冒険者達に教え、さらには魔物との共存を目指しているケテル派の存在を教えてくれた。
いくら元とはいえ、これは完全な離反行為だ。
そんな彼女がパテル派のシスターだったわけがない・・・そう嘘だったのだ。
彼女が・・・クレアこそがケテル派の教祖だったのだ!
「・・・」
冒険者達はかたずを飲んで見守っていた。
クレアが自分達の前に現れるのを。
「みなさん、お待たせしました」
声の主が冒険者達の前に姿を現した。
「私が教祖です」
そこにいたのは・・・ハートの盗賊団の団員Aだった。
「いや、団員Aかよー!?」
予想が外れて驚く冒険者達。
「団員Aさんが・・・アナスタシア様?」
クレアもまた驚きの声をあげていた。




