第75話 魔物の女の子
「ごめんなさい。後は任せていいですか」
アレスがマスターに言った。
「分かったにゃ」
アレスの言葉にマスターが頷く。
「ねえ、リズにゃん」
マスターがリズに話しかける。
「実は私、リズにゃんと一緒なんだにゃ」
「私と一緒?」
マスターの言葉にリズが首をかしげた。
「私も・・・魔物なんだにゃ」
「・・・!」
マスターの言葉にリズが驚く。
そんなリズの手をマスターが握りしめる。
「私ね。このことをみんなに明かそうと思うんだにゃ。でも、一人じゃ怖いから・・・リズにゃんに助けてもらいたいんだにゃ」
マスターがリズに助けを求める。
「私が助ける・・・」
リズがつぶやく。
「うん。二人でギルドのみんなに魔物だって明かそう。それで受け入れてくれたら一緒にギルドに残ろうにゃ」
マスターが言う。
「もし、駄目だったとき・・・ギルドに居られなくなったときは・・・」
マスターがリズの顔を見つめる。
「私のことも連れて行って欲しいんだにゃ・・・駄目かにゃ?」
マスターがその目を涙で濡らしながらリズにお願いした。
マスターの手は震えていた。
「・・・!」
リズが震えるマスターを見て・・・決めた。
「分かった。一緒にギルドに行く」
リズはマスターの願いを聞き入れた。
「ありがとうにゃ」
マスターが涙を拭いながらお礼を言った。
「・・・」
アレスはこうなることが分かっていた。
優しいリズはマスターのお願いを断れない。
そしてギルドのみんなが大好きなマスターはリズを見捨てられない。
二人の善意を・・・優しさをアレスは利用した。
(マスターには辛い思いをさせてしまった)
ずっと魔物であることを隠してきたマスター。
そんなマスターがギルドのみんなに正体を明かす・・・
それはマスターにとってとても覚悟のいる辛いことだった。
(大好きなみんなから嫌われたらどうしよう・・・)
マスターの心は不安でいっぱいだった。
そんなマスターを見てアレスは思う。
その不安は杞憂だと。
ギルドの人達がマスターを嫌うなんてありえない。
ましてや、ギルドから追い出すなんてとんでもない。
(だって、みんな知っているから・・・)
マスターが魔物だって。
マスターが魔物だということはギルドの・・・いや、街中の公然の秘密だった。
みんなマスターのことが好きだから気づいていないふりをしていた。
アレスは二人を見る。
一人は猫耳と尻尾が生えたどう見ても魔物の女の子。
もう一人はどう見ても人間にしか見えない竜人の女の子。
ギルドは・・・
街に住む人達は・・・
フォザリア王国の人間達は・・・
そんな二人を・・・受け入れた。




