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偽物勇者とメイド天使  作者: ああああいい
第1章 来訪者編
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第8話 冒険者ギルドと猫耳メイド

「起きたな、お前ら。仕事に行くぞ」

「「おー」」


 お頭の号令とともに盗賊団は散り散りになる。

 ルイもまたアジトを後にした。


 ルイが向かった先は街にある冒険者ギルドだった。

 ルイは裏口からギルドに入ると仕事着に着替え始める。

 メイド服に着替えた後、猫耳のカチューシャを頭につける。


 着替えが済むとルイはクエストの受付カウンターへと向かう。

 ルイはこの冒険者ギルドで受付嬢として働いていた。


「ルーにゃん。おはようにゃ」


 ルーにゃんは冒険者ギルドでのルイの愛称だ。


「おはようございます。マスター」

「マスターは可愛くないにゃ。クロにゃんって呼んで欲しいにゃ」

「マスターはマスターですよ・・・にゃん」


 ルイは猫のポーズをしながらとってつけたような『にゃん』を語尾につる。


「ルーにゃんの分からずや。もう知らないにゃ」


 マスターはぷんぷんと頬を膨らませながら酒場の方へ向かっていく。


 この冒険者ギルドの受付嬢と酒場のウエイトレスは共に猫耳メイドの姿で働いている。

 これは他のギルドとの差別化という狙いがある。

 だが、このギルドの成り立ちを考えると、ギルドマスターの趣味というのが本当のところだろう。


「みんな今日も一日頑張るにゃ」

「「にゃー」」


 マスターの号令に酒場のウエイトレスが返事する。


 マスターは酒場でウエイトレスをしている。

 また、マスターの猫耳は黒く、他のウエイトレスと異なり尻尾も生えている。


 マスターの猫耳メイドの情熱は凄く、耳も尻尾も本物にしか見えない。

 猫目なのと小柄なのも相まって猫っぽさに磨きがかかっていた。


(今日もあんなに張り切っちゃって・・・心配だ)


 ルイは受付カウンターからマスターを見つめていた。


 マスターはこの冒険者ギルドのギルドマスターにして、酒場の店長でもある。

 そんなマスターは酒場でウエイトレスとして働きつつ、ギルドの仕事もこなしていた。


 しかし、あまりの激務ゆえに過去に倒れてしまうことがあった。

 そこで、ウエイトレスをやめてギルドマスターの仕事に専念するように進言したのだが・・・


「絶対に嫌にゃ。死んでもウエイトレスは辞めないにゃー」


 と、断られてしまった。


 そこで受付嬢とウエイトレス達はマスターと旧知の中で常連客のランドルフさんに説得をお願いしたのだが・・・


「それは無理だ。マスターにとって酒場が本業で冒険者ギルドの方がおまけだからな」


 きっぱりと断られてしまった。


 この酒場は冒険者以外でも利用可能だが元々は冒険者のために作られたものだ。

 遠方から来た冒険者が休めるようにと、先代のマスターが酒場を建てたのが始まりだ。


 その後冒険者がどんどん通うようになり酒場を大きくしようという話になった。

 その際に国の偉い方より冒険者の集まるこの酒場にギルドを作れないかという打診があった。

 それを了承し出来たのがこの酒場つきの冒険者ギルドだった。


「亡くなった先代マスターから託された店だ。最後まで自分の手でお客さんに料理を届けたいんだよ」


 ランドルフの言葉にギルドのメイド達はマスターの説得を諦めた。


 代わりにギルドの運営や事務仕事は受付嬢達で手分けして行い、マスターは酒場に専念するという形で手を打つことになった。

 これによりマスターの仕事量は格段に減った。


 それでも、ギルドの対外的な作業はギルドマスターにしか行えない。


(前みたいに倒れるまで無茶しなきゃいいけど)


 ルイがマスターを心配していると、マスターが酒場のメニューを片手に近づいてきた。


「ルーにゃん。お願いがあるにゃ」


 とあるメニューを指差すマスター。


「えっと、『もえもえオムライス』?なんだか熱そうなオムライスですね」

「違うにゃ。可愛いって意味にゃ」


 マスターがルイの勘違いを訂正する。


「で、それと私に何の関係が?」

「この新メニューはなんと、ウエイトレスを指名して美味しくなる魔法をかけてもらえる画期的なサービスなんだにゃ」


「つまり?」

「ルーにゃんに指名が来たからお客様のところに行ってきて欲しいのにゃ」


 両手を合わせてお願いするマスター。


「私ウエイトレスじゃなくて受付嬢なんですけど」

「そこなんとか」


 両手を地面につけて土下座するマスター。


「はあー、分かりましたよ。行けばいいんでしょ、行けば」

「ありがとにゃー」


 マスターはルイに抱きついた。


「はいはい。で、私を指名した馬鹿はどこのどいつですか」

「アレスさんにゃ」


 酒場に目をやると手を振るアレスの姿が見えた。


「はーい、アレスさん。私が受付嬢なの知ってますよね。なんたって、アレスさんは冒険者なんですから」

「はは、ごめん。ごめん。これからクエストでちょっと遠くに行くからさ。ちょっと、ルーにゃんから元気をもらっておきたくて」


 謝るアレス。


「仕方ないですね。やるからにはクエストを成功させて来てくださいね」

「うん。約束するよ」


 ルイはケチャップでオムライスに大きくハートマークを描く。

 その後、両手でハートマークを作ると・・・


「もえもえキュン。美味しくなあれ・・・にゃ」


 キャピーンと、ウィンクする。

 この女、割と乗り乗りである。


「ぐはっ」


 あまりの可愛さにアレスが吐血しながらオムライスに顔面ダイブを決めた。


「「うおおおお。ルーにゃんマジ天使!」」


 冒険者ギルドの男共が騒ぎ始める。


「マスター。俺にもこの『もえもえオムライス』を一個・・・いや三個頼む」


 俺も、俺もと注文が殺到する。


「分かったにゃ。誰を指名するかにゃ?」


 全員が一斉にルイを見た。


「だから私はウエイトレスじゃなくて受付嬢だって言ってんだろー」


 ルイの怒声がギルド内に響き渡った。

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