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第69話 紅い竜
白い龍がアレスとクレアを睨む。
龍が二人の存在を認識してしまった。
「・・・」
傷ついたアレスを庇うようにリズが二人の前に出た。
「リズさん?」
リズの後ろ姿を見てアレスの心臓の鼓動が早まる。
その後ろ姿に見惚れていた・・・訳ではない。
・・・それは恐怖だった。
リズが消えてしまうんじゃないかという恐怖。
「リズさん!」
アレスが叫ぶ。
リズを連れ戻そうとして。
ゆっくりとリズが振り返る。
「アレス・・・騙してて、ごめんな」
リズが笑顔で言った。
その目に一筋の涙を浮かべながら・・・
・・・強い風が吹いた。
「・・・くっ」
アレスはたまらず目を閉じた。
再び目を開けると、リズはどこにもいなかった。
代わりにそこにいたのは・・・巨大な紅い竜だった。




