第68話 ドラゴンゾンビ
クレアがドラゴンゾンビを見る。
・・・呪いによるものではない。
そのことはドラゴンゾンビの全身を包む液状の薬草が証明していた。
(誰かが薬草の封印された力・・・願いを叶える力を使おうとしている)
クレアが胸元に隠していた・・・半円の月が描かれたペンダントを握りしめる。
(神父様・・・どうか私に世界を守る力を!)
クレアがドラゴンゾンビに向かって駆け出した。
・・・クレアに戦う力はない。
無情にもクレアの願いは打ち破られる。
「ガ・・・ガガ・・・」
ドラゴンゾンビがクレアに向かって腕を振り下ろす。
・・・ドラゴンゾンビに攻撃の意思はない。
腕を振り下ろした場所にたまたまクレアがいた。
それだけ。
人間が雑草を意図せず踏み潰してしまうように・・・
「えっ」
クレアが驚きの声をあげる。
彼女にこの攻撃を防ぐすべはない。
「クレアさん!」
アレスがクレアを庇い、ドラゴンゾンビの攻撃を受けた。
「ぐっ、はっ」
アレスが吹き飛ばされる。
「アレスさん!」
クレアが急いでアレスの元に駆け寄る。
彼女はすぐにアレスへの治療を開始した。
「ごめんなさい。私のせいで・・・」
クレアがアレスに謝る。
「僕は大丈夫・・・くっ」
アレスが傷だらけの体に鞭を打って立ち上がろうとする。
(あのドラゴンもどきを倒さないと・・・はっ?)
アレスは信じられないものを見た。
死体だったはずのドラゴンが・・・白い龍に姿を変えていた。
・・・世界の認識が書き変わる。




