第58話 敗北への恐怖
ユウキが真っ直ぐ突っ込んでくる。
それをアレスが迎え撃つ。
(・・・)
アレスは負けるのが何よりも嫌だった。
そのせいでどんな相手に対しても本気を出してしまう。
(目の前のユウキは僕よりはるかに弱い)
手加減しなければ傷つけてしまう。
(それなのに・・・)
アレスの手は木刀をを強く握りしめてしまう。
(手を抜かなきゃいけないのに!)
敗北への恐怖がそれを許さない。
(はあ、はあ)
アレスの呼吸が乱れる。
視界が狭まっていく。
(負けたくない。負けたくない)
敗北の恐怖がアレスを支配する。
アレスがリズとの決闘のときと同じように殺気を放つ。
「・・・!」
殺気を浴びたユウキが怯む。
しかし、ユウキは止まらない。
「・・・っ」
歯を食いしばって耐える。
ユウキはアレスに向かって走る。
「とりゃああ」
ユウキがアレスに向かって木刀を振り下ろした。
「・・・」
アレスが反撃をする。
狙いは首。
一撃で戦闘不能にするた・・・め・・・
「!!」
アレスの視界にリズが入った。
「アレス、頑張って」
リズが優しく微笑みかける。
「!!!」
アレスの視界が・・・一気に開けた!
アレスが無理矢理、木刀の軌道を変えユウキの攻撃を受け止めた。
そのまま華麗に受け流す。
「うわっ」
攻撃を受け流されたユウキが地面に突っ伏す。
「こんなもんかい?ユウキさん」
アレスが余裕たっぷりに言う。
既にアレスを支配していた恐怖は消えていた。
「まだまだ、これからです」
ユウキが立ち上がりアレスに斬りかかる。
「うん、いい調子だよ」
アレスがユウキの攻撃を受け止めながら言う。
こうしてアレスによるユウキへの手解きが始まった。




