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偽物勇者とメイド天使  作者: ああああいい
第2章 ギルド編
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第42話 人攫い

 フォザリア王国の郊外。

 そこにある廃墟に怪しい男達がいた。


「ボス。リズって女、攫ってきやしたぜ」

「よくやった」


 ボスと呼ばれた男が部下を労う。


 彼らはキール王国の騎士団。

 目的はフォザリア王国の冒険者、ランドルフが持つ勇者の称号だ。


(ランドルフはとても強い男と聞く。だから、万全を期さねばならない)


 ボスが攫ってきた女を見る。


(ランドルフは新しく弟子をとった。そいつは新米の冒険者で女。人質にもってこいだ)


 実際にはリズはアレスの弟子でランドルフの弟子ではない。

 一応、アレスの姉のアンはランドルフの弟子なのだが・・・


 キール王国が得た情報は色々錯綜しているようだ。


(いくらならず者の冒険者といえども可愛い弟子を見殺しにはできまい)


 ボスが下卑た笑みを浮かべる。

 その考えから分かるように騎士団は冒険者を見下していた。


 キール王国に冒険者ギルドは存在しない。

 キール王国の治安は騎士団によって守られている。


(野蛮な冒険者に勇者の称号は相応しくない。我ら騎士団にこそ相応しい)


 ボスが女に近づく。


「ん、んー」


 攫われてきた女は猿ぐつわをはめられ喋れない。

 ただただ泣きじゃくっている。


 無理もない目の前の女は年端もいかない子供。

 自身を誘拐した連中が怖くて仕方ないだろう。


「って、こんな子供なわけあるか!何してんだ、てめーら」


 ボスが部下にきれる。


「えっ、でもこいつ。母親にリズって呼ばれてやしたぜ」


 部下がボスに言う。


「名前が被ることくらいあるだろうが!馬鹿野郎」


 くそ、作戦の練り直しだ、とボスが悪態をこぼす。


「・・・さて、この小娘だが」


 ボスが勘違いで攫ってきた少女を見る。

 こいつに人質の価値はない。


「殺すか」

「へい」


 ボスの言葉に部下が返事する。


「ん、んーんー」


 少女がその目に涙を浮かべながら『殺さないで』と訴えかける。


 しかし、男達は眉一つ動かない。


 キール王国の住人達にとって他の国の人間は人間にあらず。

 どうでもいいゴミ・・・いや、害虫でしかない。


 部下の一人がナイフを持って子供に近づく。


「じゃあなー」


 大して悪びれる様子もなく男はナイフを振り下ろした。


「やめろー!」


 廃墟に声が響く。

 その声を聞いて男はナイフを途中で止めた。

 女の子はまだ無傷だ。


「俺がランドルフだ。その子に手を出すな!」


 ランドルフが人攫いの男達に言う。


「おい、その小娘をよこせ」

「へい」


 ボスが部下から少女を受け取る。

 そして少女のこめかみにボウガンを突きつける。


「見ず知らずのガキを助けにくるとは思わなかったぜ。冒険者といえども、さすが勇者だなー」


 ボスがランドルフに言う。


「おっと、動くなよ。このガキの頭を吹っ飛ばされたくなきゃよー!」


 ボスががランドルフを脅す。


「くっ」


 ランドルフが両手を上げ抵抗の意思が無いことをアピールする。


 ランドルフは動けない。

 そんな中、後方から走ってくる人物がいた。


「その子を離せー!」

「げっ、ユウキ」


 走ってくるユウキを見てランドルフが嫌な顔をする。


 ユウキはランドルフを無視して人攫いの連中に突っ込んでいく。


「申し訳ございません。止められませんでした」


 ユウキを追ってきたメイがランドルフに言う。


「マジかよ」


 ランドルフの血の気が引く。


「なんだあの女。人質が見えてねーのか!」


 ボスがユウキを見て悪態をこぼす。

 そしてその姿をよく見る。


「なんだ丸腰じゃねーか」


 ボスは警戒を解いてボウガンをユウキに向ける。


 ユウキは止まらない。

 ボウガンに向かって真っ直ぐに突っ込む。


「とんだ馬鹿女だ。死にな」


 ボスがボウガンの引き金を引こうとした瞬間ーー


「馬鹿は君だよ」


 物陰に隠れていたアレスがボスを斬り伏せる。


「ぐはっ」


 ボスがその場に倒れる。


 ボウガンが少女からユウキに狙いを変えたおかげでアレスが動くことができた。


 アレスが少女を掴む。


「リズ!」

「うん」


 アレスが少女をリズに向かって投げる。

 それをリズが自身の胸をクッションにして受け止める。


「う、うー」


 少女がリズの胸に顔をうずめる。


「くそっ!」


 人質を失い動揺する男達。


「まだだ!そこの馬鹿女を人質にしろ!」


 地面に倒れながらも部下に指示を出すボス。


「うおおお」


 ユウキに襲いかかる男達。


「させるかよ!」


 ユウキを庇い前に出るランドルフ。


 そして・・・


「どりゃあああ」

「ぎゃー」


 ランドルフの一撃で人攫いの男達が吹っ飛ぶ。

 男達はそのまま地面に叩きつけられ動かなくなった。


 こうして少女を攫った犯人達は捕らえられた。

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