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偽物勇者とメイド天使  作者: ああああいい
第2章 ギルド編
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第37話 守りたい人

「ぐぎゃー」


 アレスが倒した魔物が断末魔を上げる。


「この辺りは魔物が多いね」


 アレスは自身が斬り伏せた魔物達の死体を見ながら言う。


「大丈夫か?アレス」


 リズが戦い続けるアレスを心配そうに見つめる。


「私も戦おうか?」

「君は戦いたいのかい?」


 リズの言葉にアレスが棘のある言い方をする。


「そ・・・それは」


 リズは言い淀む。


(本音を言うと戦いたくない。でも・・・)


 リズは険しい顔をしているアレスを見る。


 もし、ここで戦いたくないって言ったら・・・


『戦いたくない?じゃあ、君はなんで弟子になった?・・・君との師弟関係は終わりだ』


(・・・って、言われるかもー)


 リズが頭を抱える。


(よし、ここは嘘でも戦うと言おう)


 リズが決心した。


「私もたたか・・・」

「僕は何があっても君の師匠だよ」


 アレスがリズの言葉を遮って話す。


「だから、君の本心を聞かせて欲しい」


 アレスのその言葉を聞いてリズは自身の胸に手を当てた。


(私の本心。それは・・・)


 リズが顔を上げる。

 彼女はアレスに本心を打ち明けることに決めた。


「私な。本当は強いんだ・・・アレスよりもずっと。信じられないと思うけど」


 リズが申し訳なそうな顔をしながら言う。


「・・・信じるよ」


 アレスが言った。


(自分より強い女の子がいることはもう知っているから)


 アレスが姉の姿を思い浮かべた。

 すると、彼の胸がちくりと痛んだ。


(この子も姉さんと一緒。僕に守られる存在じゃないのか)


 アレスは決闘の時のこと思い出す。

 涙を浮かべながら僕の弟子にしろと言ったリズのことを。


(あれはなんだったんだ?僕を騙していたのか?それとも僕より強いって言うのが嘘?)


 分からない。分からない。


(僕は何を守れる?・・・何も守れないのか?)


 目の前が真っ暗になる。

 あの日死んだ彼・・・友達の姿が脳裏に浮かぶ。


 僕は弱い。


 だから、守れない。


 守れない。守れない。守れ・・・


「でも、戦いたくないんだ!」


 リズが叫ぶ。


「えっ」


 アレスが驚く。


「なあ、覚えてるか?私と決闘したこと?」

「覚えてるよ」


 アレスが頷く。


「怖かった。一歩も動けなかった」


 当時のことを思い出しリズが涙目になる。


(・・・良かった)


 不謹慎だと分かっていながらもアレスが胸を撫で下ろす。


(彼女のあれは演技じゃなかった)


 そのことにアレスは安堵する。


「初めて他人から殺意を向けられた。あの殺意を受けられて戦うなんて私にはできない」


 リズが涙を浮かべる。


「・・・っ」


 アレスが唇を噛み締める。


(何が良かっただ!)


 アレスはさっきまでの自分を反省する。


(僕は彼女に酷いことをした・・・ランドルフさんに失望されて当然だ)


 アレスは後悔した。

 リズに怖い思いをさせたことを。


「でも、それだけじゃないんだ。戦いたくない理由は」


 リズが話を続ける。


「・・・一人だった」


 リズが辛そうな顔をする。


「私は強い魔物を倒して王様を気取ってた!でも・・・」


 周りには誰もいなかった。


「どれだけ戦っても魔物を倒しても私はひとりぼっちのまま」


 リズがアレスの手を両手で掴む。


「でも、アレスが私を守ってくれてる間は一人じゃない。アレスがいてくれる」


 リズが心の内を明かしていく。


「私は戦いたくない。そうすればアレスが私を守ってくれるから」


 リズがアレスの手を離した。


「ごめん。こんなの駄目だよな。お前の善意を利用し・・・」

「駄目じゃない!」


 リズが離した手をアレスはもう一度掴む。


「君のためならいくらでも利用されてやる。だから・・・」


 アレスが思いの丈をリズにぶつける。


「僕に君を守らせてくれ」


 その言葉に固まるリズ。

 そして・・・アレスの手を握り返した。


「分かった。アレス、私を守って」


 リズが嬉しそうに言った。


 アレスは初めて守れるものが・・・いや、守りたい人ができた。

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