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偽物勇者とメイド天使  作者: ああああいい
第2章 ギルド編
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第31話 リズと料理

 リズはアンに会うためにギルドの酒場に来ていた。


「アン。お願いがある」

「どうしたのー?リズちゃん」


 酒を飲みながらアンが答える。


「料理を教えてくれ」

「・・・」


 アンが真剣な顔になる。


「・・・ついてきな」


 アンが飲みかけの酒をテーブルに置いて歩き出す。

 リズはその後を追いかけた。


 辿り着いた場所はギルドの厨房だった。


「厨房を借りるぞ」


 アンが料理人に言う。


「えっ、ダメですよ」


 最近、料理人のバイトを始めた盗賊団の団員Aが言う。


「お前に乙女の料理を止める権利はない!」


 きっぱりと言い放つアン。


「えー」


 驚きの声をあげる団員Aを無視して厨房に入るアンとリズ。


「まあ、仕方ないにゃ。暖かく見守ろうにゃ」


 厨房にいたマスターが団員Aの肩を叩いて慰める。


「団員Aさーん、次の料理お願いしまーす」


 酒場のウェイトレスが団員Aに声をかける。


「あっ、今作ります」


 団員Aが料理に戻っていた。


「今から私のことはシェフと呼べ」


 アンがリズに言う。


「はい、シェフ」


 リズが返事する。


「お前に料理をする上で一番大切なことを教える。それは愛だ。愛情さえあれば他は何もいらん・・・そう食材すらもな!」


 とんでもない暴論を言うアン。


「シェフ!アレス・・・師匠への愛なら誰にも負けません!」


 リズが負けじと言う。


「そうか・・・ならばもう教えることはない!免許皆伝だ」

「ありがとうございます!シェフ」

「本当ににそれでいいのかにゃ!?」


 二人の会話に突っ込むマスター。


「さっきから騒がしいが何かあったのか?」


 心配したランドルフが厨房に入ってきた。


「ああ、ごめんなさいにゃ。今、リズさんがアレスさんのために料理?を頑張っていたんだにゃ」


 マスターがランドルフに説明する。


「なんでまた料理を?」


 ランドルフが首を傾げる。


「どうやらアレスさんに手料理を振る舞いたいみたいだにゃ」


 マスターが答える。


「なんで昨日の今日でそんなにアレスに懐いているんだ?」


 さらなる疑問を浮かべるランドルフ。


「分かんにゃいけど仲がいいことはいいことだにゃ」

「それもそうか」


 マスターの言葉に納得するランドルフ。


「・・・ここにいた!」


 アレスが厨房に駆け込んできた。


「ちょうど良かった」


 リズがアレスに駆け寄る。


「・・・」


 リズがじーとアレスを見つめる。


「な、なに?」


 たじろぐアレス。


「私を食べて」


 両手でハートマークを作りながら言うリズ。


「!?」


 突然のことに驚くアレス。


「愛があれば己の身一つで料理はできる!行け、リズ!」


 アンが叫ぶ。


 アンの教えの通り料理となったリズがアレスとの距離をじりじり詰めていく。


「ちょ、リズさん?近いよ」


 後退するアレス。


「料理は近づかなきゃ食えないぞ」


 リズが距離を詰める。


「行けー、リズ。料理となったお前を食わせてやれー」


 アンが煽る。


「料理って一体なんなんだにゃ」

「分からん」


 困惑するマスターとランドルフ。


「もう逃げられないぞ」


 リズに捕まるアレス。


「えっ、あ・・・」


 完全に逃げ場を失うアレス。

 アレスはそのままリズに・・・


「料理を舐めるなー!あと、厨房で遊ぶな!」


 団員A・・・いや、料理人Aが怒りながら叫ぶ。


「「「ごめんなさい」」」


 至極真っ当なその怒りにその場にいた全員が謝った。

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