第27話 地上最強の王様
「やり過ぎだ。馬鹿が」
アレスの木刀を受け止めながらランドルフが言う。
ランドルフの足元では腰を抜かしたリズが震えながら泣いていた。
ランドルフが周囲を見回す。
「反応できたのは俺だけか・・・良かったな。今のお前ならギルドの上位陣とも互角にやりあえるだろうよ」
ランドルフが投げやりに言った。
「なんですか、それ?褒めてるんですか?」
怒り混じりの声でアレスが言う。
「てめーで考えろ」
冷たく言い放つとランドルフは背中を向けた。
「・・・っ」
ランドルフが最後に見せたそれはーー
失望の眼差しだった。
「ぐっ」
アレスが頭を押さえる。
(・・・視線を感じる)
それはアレスをよく知るギルドメンバー達の哀れみの視線だった。
(くそ・・・なんだよそれ)
アレスが頭を掻きむしる。
(そんな目で見るな)
どうしようもないほどの。
何に対してかも分からない怒りが込み上げてくる。
(僕は・・・俺は!)
行き場のない怒りだけがアレスの心を支配しーー
「・・・師匠だ」
アレスを含めたその場にいた全員がその声の主を見る。
リズが立っていた。
震える体を無理矢理おさえて彼女は立っていた。
「負けた人間は勝った相手に弟子入りすると聞いたことがある」
恐怖を振り払うように彼女は言う。
「アレス!」
リズがアレスの名前を叫んだ。
「お前が私の師匠だ。私を強くしろ。そして・・・私をお前に勝たせろ!」
リズが全ての恐怖を振り払うように叫んだ。
そしてその鋭い眼光でアレスを見つめた。
「ふざけんな・・・」
アレスがつぶやく。
「なんだそれ。自分を倒す奴を自分で育てろって言うのか?そんなのおかしいだろ!」
情緒がぐちゃぐちゃになったアレスがリズと同じように叫ぶ。
「お前・・・マジで何様だよ!」
ハアハア、と息を切らしながらアレスがリズを見る。
「何様だって・・・?」
そんなものは初めから決まってる。
「私は地上最強の王様・・・になる女だー!」
リズの叫びが辺りに響き渡った。
「・・・っ」
その叫びはアレスの心を支配していた何かを・・・破壊した。




