第20話 女の子と馬の王
「ここが人間の街か」
ここはフォザリア王国の城下町。
女の子は街の入り口に立っていた。
「嬢ちゃん。危ないよ」
女の子は後ろからきた馬車に道を譲る。
馬車はそのまま街の中を駆けていく。
誰も馬車の進行を邪魔しない。
そこで女の子は気づいた。
「そうかこの街の王は馬で人間は従者なんだな!」
おかしな勘違いをする女の子。
ここから女の子の奇行が始まる。
「勝負だ!馬の王」
「ヒヒーン」
女の子は馬車を見つけるたびに馬を威嚇し始めた。
そんなことを続けるものだから・・・
「いい加減にしなさい!危ないでしょ!」
街の人に怒られてしまった。
「お前慕われているんだな」
「ヒヒーン」
女の子が馬の鼻を撫でる。
「お嬢ちゃん、そろそろ・・・」
「ああ、ありがとう」
馬車が走り出す。
女の子がくると運転手が馬車を止めてくれるようになった。
彼女の存在は街の人達に馬車がくると飛び出してくる馬好きの女の子として広まっていた。
女の子は道を通る馬車達をじーと眺めていた。
どの馬も人や物を乗せて走っている。
女の子にとって王とは強く畏怖される孤高の存在だった。
だが、馬達は違う。
人と共に歩み支えている。
そんな馬に人は感謝し慕う。
種族を超えた友情がそこにあった。
「そうか馬の王よ。お前にとって人は従者ではなく・・・友だったのだな」
新たな王の形を見て女の子は感動し涙を流す。
「ありがとう、馬の王よ。私はまた一つ真の王に近づいた」
女の子が馬に感謝を伝える。
「嬢ちゃん。馬にえさやるかい?」
馬車の運転手が女の子に聞いてくる。
「やるー!」
女の子が元気よく返事する。
「ヒヒーン」
馬が女の子のあげたニンジンを食べる。
「えへへ、お馬さん可愛い」
女の子はとても楽しそうだった。




