第0.6話 スライムと冒険
それからスライムとミコトは魔王の封印を解く方法を探る冒険を始めた。
最初は図書館の本探し。
一緒に沢山の本を読んだ。
次に街の探索。
スライムが見つけた地下空間にも一緒に行った。
次に街の外。
草原を駆け抜けた。
森を歩いた。
そしてダンジョンにも潜った。
二人は戦えないのでギルドで雇った冒険者も一緒だったけど。
たくさんの冒険の果てについに二人は魔王の封印を完全に解く方法を見つけるーーことが出来なかった!
『出来なかったの!?』
スライムが思わず突っ込む。
「はい。ですが、魔王が封印されている無の世界に行く方法は見つかりました。まずは・・・」
ミコトが魔王を封印している幾重もの結界の解除方法を一つずつ説明していく。
「・・・そして最後に待ち受けるのは網目状の結界。これはどんな手段を用いても解除することは出来ません」
ここで手詰まり魔王の元には辿り着けない。
普通なら。
『でも、液体の僕ならその網目を抜けて魔王の元に辿り行ける』
「その通りです」
スライムの言葉をミコトが肯定する。
『でも、辿り着けても魔王を連れ帰る手段がない』
スライムなら網目状の結界をもう一度通り抜ければ帰れる。
しかし、魔王はその結界を通り抜けられない。
本当に魔王の元に辿り着くだけ。
これでは意味が無い。
「いえ、大丈夫です。魔王には願いを叶える力があります。ですので、魔王に出会えさえすればスライムさんの願いを叶える形でスライムさんと魔王はこちらの世界に帰って来れる筈です」
ミコトが戻ってくる手段を説明する。
『といことは?』
「魔王を救えます」
やったー、と喜ぶ二人。
スライムは千年前の勇者が書いた本に目をやる。
この本が無ければ魔王のことも封印を解く方法も分からなかった。
なにより、ミコトに出会え無かった。
この本が全ての始まりだった。
『千年前の勇者が書いた本まであるなんて。さすが王立図書館だね』
スライムが言う。
「いえ、それ図書館の本じゃないですよ」
『えっ』
驚くスライム。
「それは私の家にあった本です。私、勇者なので」
『えー!?』
ミコトのとんでもないカミングアウトに驚くスライム。
「と言っても。勇者の称号を代々受け継いできただけで、本当に凄いのは千年前の勇者様だけです」
『えー、でも勇者だよ。現にミコトさんは僕と話せてるし・・・』
なぜかスライムが勇者の称号の弁明をしている。
「これは私の力で勇者の称号とは何の関係もありません。本当に名ばかりの何の価値も無い称号ですよ」
『そうなんだー』
がっかりするスライム。
「ふふ」
『あはは』
スライムはミコトとの最後の会話を楽しんだ。
明日、スライムは魔王を救うために地下に行く。




