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偽物勇者とメイド天使  作者: ああああいい
第0章 スライム編
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第0.2話 スライムと勇者の本

 スライムが歩いていると止まっている馬車を見つけた。

 人間の声が聞こえてくる。


「えーと、フォザリア王国の相場は・・」


『フォザリア王国!』


 それはスライムが目指している目的地だった。

 スライムは慌てて馬車の荷台に潜り込む。


 しばらくして、馬車が走り出した。


『さてと』


 スライムが一冊の本を取り出す。


 スライムの鞄には薬草と包帯と三冊の本が入っている。

 医療本、翻訳本、そして最後の本が・・・


『勇者の本』


 これはスライムが初めて読んだ本でこの世で一番大好きな本だった。


 スライムは何度も読んだその本のページをまためくる。


 それは勇者が魔王を倒して姫を救うお話。


 勇者はどんな強敵が相手でも逃げずに戦う。

 人々を救うためにどんな困難にも立ち向かう。


 そんな勇者の生き様はスライムの憧れだった。

 でも、勇者は人間だから人間のことしか救ってくれない。


 だからスライムは決めた。

 自分が魔物を救う魔物の勇者になると。


 スライムは弱く戦えない。

 だから本を読んだ。

 魔物達を救うための知恵をつけるために。


 フォザリア王国。

 この国にある王立図書館。

 ここには他の図書館では読めない世界有数の本が集まっている。


『王立図書館の本を読めばこれまで以上の魔物達を救えるはず』


 キッキー。


 馬車が止まる。

 フォザリア王国についたようだ。


 スライムは本を鞄にしまい荷台から外を覗く。


『すごい人の数だ。鞄を引きずって歩いたらすぐにバレちゃう』


 スライムは鞄を見ながら思案する。


『大きな街だ。インフラは整っている。薬草と包帯は必要ない。そして本は・・・』


 本は一言一句覚えるまで穴が開くほど読んだ。

 無くても問題ない。

 これまで持っていたのは御守り代わりだった。


『今までありがとう』


 鞄に別れを告げスライムは馬車の荷台から飛び出した。

 液状の体を利用して人に見つからないようにすらすら進む。


 目指すは王立図書館。


『僕は魔物を救う勇者になる』


 スライムの最後の冒険が近づいてくる。

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