第148話 世界を愛した王様
「私には世界平和という決して揺らぐことのない夢がある」
アルベルトが自身の夢を語る。
「子供の頃の私は全ての悪人が善人に変われば世界は平和になると考えた」
自嘲気味に話す。
「だから、私は神に会ってその願いを叶えようとした・・・実に愚かなことだ」
自身のお愚かさを笑う。
「私は王としてこの国の人々を・・・世界中の多くの人々を見てきた」
これまでの思い出にふける。
「私は見てきたんだ・・・悪と呼ばれた人間が自身の力で改心し、善人になっていく様を」
その目をキラキラと輝かせる。
「神に願う必要なんてなかった・・・人は自分自身の力で変われる」
熱く語る。
「それなのに・・・千年前」
その声に怒気が含まれる。
「神は人にやり直すチャンスを与えず、そればかりか・・・人間の邪な願いを叶え始めた!」
怒りをあらわにする。
「この世界に悪はいない!」
アルベルトが断言する。
・・・この世に救いのようのない悪は存在する。
しかし、アルベルトはそれを認めない。
それはあまりにも傲慢な正義の押しつけだった。
「もし、悪がいるとすれば・・・ただ一人」
アルベルトが頭上を指さす。
「この世界に現存する唯一の悪・・・それが神だ」
・・・千年という長い月日の中で勇者が残した世界を守る嘘の力は弱まっていた。
このままいけば、世界は無差別に願いを叶える神の力によって終わりを迎える。
アルベルトはそんな終わりを認めなかった。
彼は愛する世界を・・・人々を守るために王として立ち上がった。
「私は神に願わない」
アルベルトが神との決別を告げる。
「私は・・・神を殺す」
アルベルトが右手をかかげた。
まばゆい光が辺りをつつむ。
そして・・・
『・・・』
神々しい白い龍が降臨した。




