第144話 問いの答え
『アナスタシア・・・』
アナスタシアを呼ぶ声が聞こえた。
「・・・!」
その声を聞いてアナスタシアが駆け出した。
「アナスタシア様!」
シスター達の制止を振り切って・・・
ゾンビの合間を縫って走っていく。
『・・・』
ゾンビ達はアナスタシアに手をださない。
横を通り過ぎていく彼女を黙って見過ごした。
「はあ、はあ」
アナスタシアが息を切らす。
ゾンビを通り過ぎた先・・・
そこで待っていたのは・・・
『・・・』
死んだはずの吸血鬼だった。
『アナスタシア・・・』
吸血鬼がその名を呼ぶ。
そして・・・手を伸ばした。
「・・・!」
アナスタシアが自身の顔を吸血鬼に近づける。
『・・・』
吸血鬼がゾンビとなりボロボロになった手で・・・
アナスタシアの頬を優しくなでた。
成長したアナスタシアの姿を見て吸血鬼は嬉しそうに顔をほころばせた。
そして・・・
『綺麗になったね』
それだけ言い残すと吸血鬼の体は灰となり消え・・・
・・・。
「アナスタシア様!」
ゾンビを蹴散らしたシスター達がアナスタシアにかけよる。
「みなさん・・・私なら大丈夫ですよ」
アナスタシアが首元を押さえながら言った。
「どこかお怪我を?」
けれど、シスター達は心配そうに聞いてきた。
「私は無傷ですよ」
アナスタシアが笑顔の演技をしながら言う。
「しかし、涙を・・・」
「えっ」
その言葉に驚いて、アナスタシアは自身の頬を触った。
シスターの言った通り涙が流れていた。
それはアナスタシアが初めて流した・・・本物の涙だった。




