第143話 絶対的正義
シスター達は劣勢だった。
ゾンビの物量に押しつぶされ・・・またひとり、またひとり倒れていく。
『ぐぎー』
一匹のゾンビがシスターを切り伏せ、奥までたどり着いた。
・・・そこには二人の教祖と、クレアがいた。
三人には他のシスターと違って戦う力がなかった。
『ぐがー』
ゾンビが彼女達に襲い掛かる。
そして・・・
『ぐげ?』
ゾンビの足が切り落とされて、地面に突っ伏した。
ゾンビが見上げると・・・
「・・・」
そこには倒したはずのシスターがいた。
『ががが?』
『げげげ?』
ゾンビ達は信じられないものを見た。
・・・倒したはずのシスター達が起き上がったのだ。
『ぐががが』
ゾンビの攻撃がシスターのお腹を貫いた。
「・・・」
お腹を貫かれたシスターがゾンビの首をはねた。
『ぐが?』
シスターの破けた服から綺麗なお腹が見えた。
・・・傷が消えていた。
「・・・」
「・・・」
マリアとクレアが無言で半円の月が描かれたペンダントを握りしめていた。
この二つのペンダントには神の力が宿っている。
マリアの持つ祈りの力。
人の魂を現世に留まらせる。
クレアの持つ癒しの力。
ありとあらゆる傷を癒す。
「・・・」
アナスタシアが星が描かれたペンダントを取り出す。
・・・星が描かれたペンダントは複数ある。
けれど、彼女のために作られたペンダントはこれ一つだけだ。
教祖になれるのは本来、半円の月が描かれたペンダント・・・神の力に選ばれたものだけだ。
しかし、時にはそうでないものが教祖に選ばれることがある。
神に選ばれることだけが教祖の条件じゃない。
歴代の教祖の中には・・・神父、そしてシスター達によって選ばれた教祖がいる。
そんな教祖のために彼女たちは星が描かれたペンダントを送った。
このペンダントには・・・
神父とシスター達の教祖に対する・・・強い思いが込められていた。
・・・その強い思いが勇者の嘘を突き破り、神の力を現実のものとする。
「行きなさい、シスター達よ!・・・正義は私達にある!」
アナスタシアが自分たちの正義を宣言した。
「全ては正義のために」
シスター達がその言葉とともにゾンビに襲い掛かる。
『ぐがー』
ゾンビがシスター達に応戦する。
しかし、ゾンビが傷つけた傷はすぐに消えてしまう。
目の前にいるのはゾンビなんか目じゃない・・・
本物の不死の軍団だった。
『ぐがー』
『ぎえー』
ゾンビが叫び声をあげながら蹂躙されていく。
・・・ゾンビに勝ち目はなかった。
それは・・・圧倒的なまでの不条理で理不尽な光景だった。
しかし、我らが神をそれを許した。
・・・悪に虐げられる善良な人達を救いたい。
シスター達のその思いに神は応えた。
いかなる不条理も理不尽も彼女達には許される。
そう全ては・・・
「絶対的正義の名のもとに」




