第139話 最終決戦の六日前(ギルド視点)
ジャンヌとマリアの話を聞いた冒険者達はすぐに地下へと向かった。
しかし・・・
「駄目だ・・・通れない」
地下への道は強力な結界に阻まれていた。
「・・・六日後を待つしかないみたいだな」
ランドルフが言った。
肩を落としながら冒険者達はギルドへと戻った。
・・・アルベルトがジャンヌに伝言を残したのが昨日のこと。
つまり、アルベルトの語った一週間後まであと六日だ。
・・・。
冒険者達は六日後の決戦に向けて準備を始める。
「私も頑張るぞ」
メイド服を着たリズが言った。
「駄目だ」
そんなリズをアルベルトが制止する。
「何言ってるんだ!私が強いのは知っているだろ」
リズが怒る。
「強さは関係ない・・・君は戦いたくないんだろ?」
アレスが言う。
「そんな君が戦わなくていい世界を僕達・・・冒険者が作る」
アレスがリズを見つめる。
「安心してよ。僕達はすごく強いんだ。国王・・・魔王にだって負けないさ」
アレスが笑う。
「だから、僕を信じて・・・待っていて」
ドクン。
その笑顔を・・・
その言葉を聞いて・・・
リズの心臓が高鳴った。
「うん、分かった・・・待ってる」
リズがアレスに抱きついた。
「ありがとう・・・リズさん」
アレスが抱き返した。
・・・。
「ミカにゃん!」
マスターがミカに抱きついた。
「クロにゃん・・・」
そんなマスターをミカが優しく抱き返す。
「ミカにゃんも戦いに行くの?」
マスターが泣きそうな顔をしながら聞く。
「うん、私がクロにゃんを・・・このギルドを守るから」
マスターとミカが涙と鼻水を垂らしながら抱き合っていた。
(ミカが楽しそうで良かった)
その様子を見てルナが嬉しそうにする。
・・・任務のときは片方しか出撃しないはずのパテル派の姉妹達が揃っていた。
六日後の最終決戦・・・負ければ世界が終わる。
・・・帰る場所もなくなる。
今回の戦いは冒険者達だけでなくシスター達も動員可能な全勢力を持って臨む。
世界と・・・そこに住む人たちを守るために。
・・・。
「今こそ、俺達の力を示すときだー!」
ハートの盗賊団のお頭が団員達に言う。
「おー!」
団員達が腕をあげ、やる気を示す。
「いや、親父達はお留守番だよ」
ルイが盗賊達に言った。
「な、なんでだ!」
「そうっすよ、ルイ坊ちゃん!」
盗賊達が文句を言う。
「いや、親父達弱いし・・・はっきり言って足手まとい」
ルイが正論を言った。
「ぐはっ」
「うっ」
その言葉に盗賊達がダメージを受ける。
「まあ、今回は冒険者達に任せて。次、頑張ればいいさ」
ルイが盗賊達に言う。
「・・・次?」
その言葉に盗賊達は疑問を浮かべる。
「ギルドは新たな冒険者がくることをいつでも待っています」
ギルドの受付嬢・・・ルイが盗賊達に言う。
「うちの冒険者は強いんですよ。世界の一つや二つ・・・簡単に救っちゃいます」
ルイが笑う。
彼女は世界が終わるとは微塵も思っていなかった。
・・・冒険者達の勝利を確信していた。
「・・・そうだな。あいつらが帰ってきたら頼んでみようか」
お頭が言う。
「冒険に連れて行ってくれって・・・手伝わせてくれって」
「そうっすね!」
お頭の言葉に盗賊達は頷いた。
「よし、今・・・俺達にできることをするぞ!」
「了解っす!」
盗賊達が服を脱ぐ。
そして・・・メイド服を着た。
頭につけ耳をつけて・・・
「冒険者のみなさん!六日後の決戦に向けて英気を養って欲しいにゃ!」
「それまでは自分たちが皆さんのお世話をするっす・・・にゃ!」
盗賊達が冒険者達に言う。
「・・・」
冒険者達はそれを見て、あいた口が塞がらなかった。
彼らのメイド姿は・・・とてもよく似合っていた。
どうやら、盗賊団の面々には女装の才能があったようだ。
・・・世界が終わるかもしれない。
その瀬戸際でそんなどうでもいいことを知って・・・
「あははは」
冒険者達は腹を抱えて笑った。
・・・。
「ユウキの奴・・・どこに行ったんだ?」
ギルドの面々が大切な人とのお別れを済ませ、最終決戦の準備を進める中・・・
ランドルフはギルド内を走っていた。
・・・ユウキが見つからない。
結局、この日・・・
ランドルフは、ユウキとそのメイドのメイの姿を見つけることができなかった。
・・・最終決戦まであと六日。
冒険者達の世界を救う戦いは近い。




