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第129話 救いようのない悪(少女)
保護された少女は教会のシスターになった。
シスター達は期待した。
少女が悪に対して殺す以外の手段を示してくれることを。
・・・その期待は裏切られることになる。
「あはは、死ね。苦しんで死ね!」
「・・・!」
シスター達は絶句した。
・・・少女に戦う力はない。
シスター達の戦いを見ていることしかできない。
そんな少女はシスター達に・・・
「いいぞ。その調子だ。もっと、ぐちゃぐちゃにしちゃえ!」
少女がシスター達を応援していた。
最低な言葉とともに。
少女は・・・悪に手を差し伸べなかった。
代わりに罵倒を浴びせた。
(なんで・・・?)
シスター達は意味が分からなかった。
(あの日、吸血鬼のために涙を流し・・・)
シスター達は少女と初めて会った日のことを思い出す。
(私達に優しい言葉をかけてくれたあの子は・・・)
ズルッ。
少女が死体の血で滑る。
倒れた少女が死体の臓物を握りしめながら・・・
「あははは」
楽しそうに笑った。
あの日の優しかった少女はどこにもいなかった。
そこにいたのは救いようのない悪だった。




