第119話 少女と見世物
少女が服を脱いで裸になった。
何日も食事をとっていないその体はとても痩せほせってしまっていた。
・・・それでも少女の体が綺麗なことには変わらなかった。
「・・・!」
吸血鬼は少女から目を離した。
少女の裸に欲情した・・・わけではない。
それは恐怖だった。
吸血鬼の目にはこれまで殺した人間達の死体が焼き付いている。
(もしこのまま少女を見続けたら・・・)
少女も死んでしまうのではないか?
・・・ありえない妄想に囚われる。
「・・・っ」
吸血鬼が歯を食い縛る。
(いつまでも目をそらし続けるわけにはいかない・・・)
吸血鬼は少しずつ視線を戻す。
そして、吸血鬼が少女を見た。
「・・・!」
・・・少女は裸のままだった。
「・・・」
少女は吸血鬼が自分を見ていることを確認すると、お洋服を着はじめた。
「・・・あ」
吸血鬼が口をぽかんと開けている。
吸血鬼はようやく気づいた。
・・・少女は見世物だった。
見世物は見られるために存在している。
見られてなければ見世物ではない。
少女の全ては見られるために存在している。
見られていない間、少女は存在しない。
「・・・」
ただじっと、止まってる。
お腹が空いても食べたりしない。
着たいお洋服も着たりしない。
・・・勝手に動いたりしない。
待っている。
自分を見にくる誰かをずっと・・・待っている。
「・・・っ!」
吸血鬼が着替え終わった少女に持ってきた食事を差し出した。
「・・・」
吸血鬼はじっと少女を見る。
目を逸らさない。
「もぐもぐ」
少女はご飯を食べ始めた。




