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偽物勇者とメイド天使  作者: ああああいい
第4章 ヒーロー編
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第117話 吸血鬼と罪悪感

「やめろ、触るな!」


 吸血鬼は少女が伸ばした手をはじいた。

 彼は少女を拒絶した。


 ・・・それは恐怖だった。

 少女に対してではない。

 吸血鬼自身に対する恐怖だった。


「はあ、はあ」


 吸血鬼は自身の手を見た。

 その手はこれまで殺してきた人間の血で赤く汚れていた。


「うっ!?」


 吸血鬼はその手を服に擦りつける。

 汚れは消えない。

 手は赤いままだった。

 ・・・本当に赤かったわけではない。

 それは幻覚だった。

 彼の中に芽生えた罪悪感が見せる幻だった。


「椅子に戻れ」


 吸血鬼が少女に命令した。


「・・・」


 少女は黙って命令に従った。


「食事を持ってくる」


 そう言って、吸血鬼は部屋を後にした。


 吸血鬼は怖かった。

 自身の汚れた手が綺麗な彼女を汚してしまうことが・・・

 この手が彼女を殺してしまうことが・・・


「そんなことあるものか!」


 吸血鬼がひとり叫んだ。

 自身の考えを否定した。


 それなのに・・・

 その目にはかつて殺した人間達の・・・真っ赤な死体が・・・

 その中には少女の姿もあった。


 少女の四肢は腐っていた。

 その腐った四肢を吸血鬼はもいだ。


「・・・!?」


 吸血鬼が幻覚から現実に帰ってきた。

 その手には少女の四肢をもいだ感触が残っている。

 なぜなら、それは実際にあった出来事だからだ。


 過去は消えない。

 この手の感触は一生残り続ける。


「自分が少女を殺すわけがない?よく言えたな」


 その幻聴は屋敷の住人達のものではなかった。


「お前は容赦なく少女の四肢をもいで目をくり抜いた」


 その声は幻聴ではなかった。


「彼女を助けるため?・・・はっ、だからといって正常な人間にこんな惨いことできるかよ」


 その声は自分の口から出ていた。


「お前は人間じゃない」


 そうだ私は人じゃない。


「お前は吸血鬼・・・生まれながらの悪だ」


 ・・・その日から吸血鬼は少女の部屋によりつかなくなった。

 吸血鬼が部屋にくるのは食事のときだけ。

 食事を部屋に置くと吸血鬼は逃げるように去っていく。

 自分が少女を殺してしまわないように。

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