第110話 少女と吸血鬼
私は許されない罪を犯した。
自身の快楽のために多くの人間を殺めた。
叶うことなら・・・
私が殺めてしまった人達と・・・
そのせいで人生が狂ってしまった人達に・・・
贖罪をしたい。
そして、アナスタシア・・・君の幸せを・・・
・・・。
・・・。
大きな屋敷があった。
少女はこの屋敷に住む人たちの娘だった。
「キャー」
「うわあああ」
屋敷内に住人達の悲鳴が響き渡る。
「あははは」
それを見て吸血鬼が愉快そうに笑う。
彼は何よりも人間の悲鳴が大好物だった。
『・・・』
少女は叫ばない。
泣きもしない。
『もぐもぐ』
ただ、ご飯を食べながら自分の番がくるのを待っていた。
家族である住人達の死を気にもせず。
「・・・」
吸血鬼が少女の前にやってきた。
少女の番がついにきたのだ。
吸血鬼が少女の首を絞めようとする。
『ガブッ』
少女が吸血鬼の手に噛みついた。
「・・・っ」
気を悪くしたであろう吸血鬼が少女の四肢をもぎ取った。
『・・・』
少女は声を出さない。
泣きもしない。
「・・・」
泣かないのなら不要と判断したのか。
吸血鬼が少女の目をくり抜いた。
『・・・』
それでも少女は何も喋らない。
「・・・っ、・・・!」
吸血鬼は何を思ったのか少女の口に自身の血を注いだ。
吸血鬼に血を与えれた人間は、吸血鬼となり蘇る。
・・・しかし、少女は吸血鬼になれなかった。
その血に適合できなかったのだ。
そんな彼女が人間として蘇ったのは、一度限りの奇跡だった。




