第99話 クレアとお世話係
「じー」
クレアは物陰に隠れていた。
その視線の先にはマリアがいる。
(神父様も他のシスター達も騙されている。あの人はきっと魔物のスパイに違いないわ)
クレアはマリアを警戒していた。
マリアの所属するケテル派はあろうことか魔物との共存を掲げている。
(私は騙されないんだから)
クレアはマリアを監視する。
神父と教会のシスター達を守るために。
「えっ、えーと。ここは確か・・・」
目の見えないマリアは壁に手をつきながら歩いていた。
「よし、ここで手を離して・・・真っ直ぐ歩く!」
マリアが歩く。
「きゃっ」
足がもつれて転んでしまった。
「いたたっ、あれ?どっちにいけばいいんででしょう?」
転んだ拍子に方向を見失うマリア。
来た道を戻ってしまう。
(なにやっているんですか。あの人は!)
クレアはその様子をイライラしながら見ていた。
その後も転んだりぶつかったりするマリア。
極めつけは・・・
「えーと確かこの棚の四番目に・・・」
マリアが棚を一段目から触っていく。
「よし、ここです!」
マリアが棚を引く。
その際に棚が大きく揺れた。
ぐらっ。
棚の上にあった壺がバランスを崩し、マリア目掛けて落ちてきた。
「危ない!」
クレアが飛び出して壺をキャッチする。
「こんなもの!」
クレアが壺をゴミ箱に放り投げる。
「ク、クレアさん?どうしてここに・・・」
驚いて尻餅をついたマリアが言う。
「どうして?・・・それはこっちのセリフです!」
クレアが怒る。
「どうして一人で出歩いてるんですか。危ないでしょ!」
クレアがマリアに注意した。
「み、みなさんにご迷惑をかけるわけにはいかないので・・・」
マリアが言い訳をする。
「一人で出歩く方が迷惑です!私達を頼ってください。ほら、手を」
「ありがとうございます」
マリアはクレアが差し出した手を支えにして立ち上がる。
「あのー、もう手を離して大丈夫ですよ」
手を握りっぱなしのクレアにマリアが言った。
「駄目です。あなたを一人にはできません」
クレアがマリアの言葉を突っぱねる。
「どこに行きたいんですか。案内します」
クレアがマリアに聞く。
「あ、ありがとうございます」
マリアがお礼を言う。
この日からクレアはマリアのお世話係となった。




