第94話 二人の友情
「酒場にようこそにゃ」
マスターがミカを歓迎する。
「ここではウェイトレスの仕事を体験してもらうにゃ」
マスターが体験会の内容を説明する。
「よろしくお願いします」
ミカが頭を下げる。
「うんうん。礼儀正しくていいにゃ」
マスターが満足そうに頷く。
「それじゃあ、少し失礼するにゃ」
マスターがしゃがんでミカのスカートを少しめくる。
そしてパンツを確認した。
「あっ、あああ!!」
エッチな下着を見られて顔を真っ赤にするミカ。
しかし、マスターは気にした素振りはなく、むしろ・・・
「ミカさん・・・よく分かってるにゃ」
褒め称えた。
「え、ええ?」
困惑するミカ。
「猫耳メイドたるもの下着はそうじゃないといけないにゃ」
「みんなこんなエッチなパンツ穿いてるの!?」
ミカが酒場のウェイトレス達を見る。
(あの人達みんなメイド服の下はあんなエッチなんだ・・・)
ミカがその事実に驚愕する。
「ここはエッチな店だったんだ・・・早く逃げなきゃ!」
ミカが逃げ出す。
「ち、違うにゃ。誤解だにゃ!」
マスターがミカの手を掴んでを引き止める。
「ここは健全な店だにゃ。スカートの中身が見られることはないにゃ」
マスターが必死に弁明する。
「だから、どんなエッチな下着でも大丈夫なんだにゃ・・・だって、見られないから!」
「じゃあ、普通の下着でもいいよね!?」
ミカがつっこむ。
「だ、駄目だにゃ。清楚なメイドが実はエッチな下着をつけている・・・それが紳士、淑女の想像力をかきたて・・・」
マスターが説明をする。
「劣情を誘うんだにゃ!」
「やっぱり、エッチな店じゃないの!」
疑惑が確信に変わる。
「『じゃない』・・・?分かってくれたんだにゃ。ここはエッチな店じゃないって!」
マスターが感涙してむせび泣く。
「違う。エッチな店じゃんって意味で言ったの!」
ミカが否定する。
「違うにゃー。みんなの心とゆとりを守っているんだにゃー」
マスターが泣きながら言う。
「穴が空いてお尻もまともに守れないパンツには無理な願いだわ!」
「・・・?それは尻尾を通すための穴だにゃ」
マスターが自身の尻尾をミカに見せる。
「えっ、意味があったの?この穴・・・」
衝撃を受けるミカ。
「そうだにゃー。この下着はどんな種族でも隔てなく穿けるって、シスターさんから貰った友好の証なんだにゃー」
「身内の仕業かよ!本当にごめん!」
犯人がケテル派のシスターだと分かり謝るミカ。
ケテル派が用意したパンツはベルの大きな尻尾の邪魔にならないように大きな穴が空いていた。
これがミカにエッチな下着だと勘違いさせる原因となってしまった。
「わ、分かってくれたかにゃ」
「ええ、よく分かったわ。このパンツは責任を持ってはくし、ウェイトレスの仕事も手伝うにゃん」
ミカが猫耳をつけて猫耳メイドになりきる。
さらに、尻尾までつけていた。
人間がこれをつける場合、尻に直接挿すことになるためギルドのウェイトレスは嫌がってつけていなかった。
だが、ミカは尻尾をつけた。
(宗派が違うとはいえ同じシスター。責任は私がとる!)
ミカは猫耳メイドになる覚悟を決めた。
「ミカにゃん・・・」
マスターの目から涙があふれる。
嬉しさのあまりに!
「クロにゃん!」
ミカがその名を呼ぶ。
マスターはクロにゃんと呼ばれたがっていた。
第8話参照。
「ミカにゃん!」
ミカとマスターはお互いの名を呼び、熱い抱擁を交わした。
二人の友情は永遠だ。
「はっくしょん」
ミカがくしゃみをした。
「私、猫アレルギーだった・・・」
「そんにゃー」
ショックを受けるマスター。
二人の短い友情が終わ・・・
「でも、関係ないわ!」
ミカはマスター抱くことをやめない。
「ミカにゃん・・・!」
マスターも抱き返す。
涙と鼻水でどんどん汚れていく二人。
けれど、その友情はとても尊く美しかった。
「・・・」
その様子を陰から見守っていた人物がいた。
ルイである。
(ギルドに馴染めたみたいで良かった)
ルイが胸をなでおろす。
そんなルイの元にユウキがやってくる。
「あの子・・・ルーにゃんを襲ったシスターだよね?」
ユウキが心配そうに聞いてくる。
あの時、ギルドいたほとんどの人間が洗脳の宝玉によって意識を失っていたためミカの顔を覚えていなかった。
しかし、ルイと一緒に逃げたユウキは別だ。
ミカの顔をしっかり見ている。
「うん・・・そろそろ頃合いだよな」
ルイが小声でつぶやく。
「ミカさん」
ルイが真剣な顔でその名を呼んだ。
「うん、そうだね・・・」
ミカがマスターを引き離す。
「ミカにゃん?」
心配そうな顔をするマスター。
「ごめんね。私はあなたに・・・あなた達に酷いことをしたの」
ミカが自身の素性をギルドの人達に明かした。




