第93話 つまらない男?
「それじゃあ、冒険者が受けるクエストについて教えるね」
アレスがミカに言う。
「はい、よろしくお願いします?」
突然のギルド体験会に困惑しながらも受け入れるミカ。
「クエストには・・・」
「話が長い」
アンがアレスの頭を引っぱたく。
「まだ、何も話してないよ!」
アレスが反論する。
「ミカちゃん」
アンがアレスを無視してミカに抱きつく。
「ねぇ、何で体験会を受けたの?」
アンがミカに聞く。
「えっ、いや、ルーにゃんに勝手に決められて・・・」
ミカが事情を話す。
「うーん、良くない。それは良くないわ」
アンが言う。
「・・・よし、ギルドに興味を持ってもらうところから始めましょう」
アンが体験会の方針を決める。
「アレス、なんかお面白い話をしなさい」
「えっ、あ、うん」
アンから無茶振りされるアレス。
「そうだね、この前リズさんが・・・」
「はい、駄目。マイナス百点。初対面の女の子に他の女の話してんじゃないわよ」
アレスに対して辛辣な評価を下すアン。
「この前。ランドルフさんが・・・」
「はい、マイナス千点。知らない男の話をしてんじゃないわよ」
「じゃあ、どうしろって言うんだよ!」
何を話そうとしても却下され、アレスがキレる。
「あんた自身の話をしろって言ってんのよ」
アンがため息まじりに言う。
「ぼ、僕!?」
「そうよ。まず、目の前のあんたが興味を持たれなきゃ意味がないでしょ」
「えっ、えーと・・・」
自身の話をしようとするが言葉に詰まるアレス。
そんなアレスを見てアンが深いため息をついた。
「あんたって本当につまらない男ね。行きましょう。ミカさん」
「う、うん。アレスさん。クエストのお話ありがとうございました」
ミカがアレスに礼を言いながらアンと共に去っていった。
「いや、だから。まだ話してないって・・・」
ポツンと一人寂しく取り残されたアレス。
「なんて惨めなんだ・・・」
アレスががっくりと肩を落とす。
そんなアレスをリズが発見する。
「どうしたー、アレス?一人で固まって」
リズがアレスに話しかける。
「リズさん・・・何でもないよ・・」
何でもないと言いつつ、暗い顔をするアレス。
「元気出せー、アレス」
そう言って、アレスの頭を抱きしめる。
「ふぐっ」
アレスの顔がリズの胸にうもれる。
「アレスには私がついているからなー。だから、安心しろ」
リズがアレスの頭をなでながら励ます。
「余計に惨めだ・・・」
アレスが言葉をこぼす。
「何言ってんだ。そんなことないぞ」
リズがアレスの言葉を否定する
「だって昨日の夜・・・ベッドの上ではあんなに激しくて男らしかったもんな」
「り、リズさん!?」
リズのとんでも発言にアレスがあわてる。
そこにランドルフとメイが通りかかる。
「お、お前ら。やっぱりそういう関係だったのか」
「まあ、男女が同じ屋根の下で暮らしてたらそうなりますよね。ふふ、お幸せに」
驚くランドルフと、からかうメイ。
「ち、違うから。誤解だから!」
顔を真っ赤にしながら否定するアレス。
「そうだな。夜だけじゃなくて朝もだったもんなー」
「リズさん!?」
さらに爆弾発言をするリズ。
そのことにあわてるアレス。
「あ、朝っぱらから!?」
さらに驚くランドルフ。
「元気いっぱいですね」
笑うメイ。
そんな二人の様子を見てアレスが叫ぶ。
「だから、違うんだってばー!!」
アレスの信じてもらえない虚しい叫びがギルド内に反響した。
・・・実際のところは昨日の夜、部屋にゴキブリが出てアレスとゴキブリが激しい死闘を見せただけである。
ゴキブリは最終的にベッドに追い込まれた後さよならバイバイされた。
「今のはなかな面白かったぞ。弟くん」
アンが腕を組みながらうんうんと頷く。
アンとミカは惚気話をするリズとアレスを隠れて見ていた。
実際は惚気話じゃないのに・・・
アレスへの風評被害が広がっていく。
「愛しあう二人。幸せなことは良いことだわ」
ミカが言う。
「どうする?体位とか、何回したかとか聞きに行く?」
「行かないわよ!」
アンの誘いを顔を赤くしながら断るミカ。
「アンが言ってた。人前でするとより気持ち良くなれるって・・・」
「な、なにをするつもりなんだ。リズさん!」
リズとアレスはまだ騒いでいた。




