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かげぼっち

作者: 南部鞍人


注意:この話を見聞きすると「かげぼっち」が来ます。

   ご覧のさいは自己責任でお願いします。


本文
























 かげぼっち について



 かげぼっちは「影法師」と書いて「かげぼっち」と読みます。



 かげぼっちは自分の存在を知った人の家にやってきます。



 かげぼっちは、あなたが家のなかで“一人でいる”ときにやってきます。



 かげぼっちはチャイムを鳴らしたり、ドアをノックしたり、あなたの家の周りをグルグルと回って、なかに入ろうとしてきます。



 かげぼっちは、コケシのように腕のない、人の形をした、ぼんやりとした影に見えます。常にブルブルと震えながら、ブツブツと小さく呟いています。何を言っているかは不明です。ときどき異様に伸びたり曲がったりもします。



 かげぼっちを家に入れてはいけません。入れてしまうと、あなたは原因不明の死を遂げるか、失踪してしまいます。どのような理由で結果に違いが出るのかは分かっていません。また失踪した人が何処へ行くのかも分かっていませんが、一説にはかげぼっちの仲間になると言われています。



 かげぼっちは別々の場所に、同時に現れることがあります。かげぼっちは何人もいるとされ、失踪者がかげぼっちの仲間になると言われているのもこのためです。



 かげぼっちが現れたさいには、ただちに電話やメール、SNSなど、何らかの手段でかげぼっちのことを他者に報せてください。情報が誰かと“共有”された時点で、かげぼっちはあなたのもとから“一時的に”去ります。



 かげぼっちは、その日、自分の“うわさ”をしてくれた人のところへは訪れません。この場合の“うわさ”とは、口頭やメール、SNSなどで、他者とかげぼっちの話題を共有することです。



 かげぼっちの“うわさ”であれば、たとえ内容が誹謗中傷であったとしても、かげぼっちはその“うわさ”をしてくれた人のところには訪れません。



 かげぼっちの“うわさ”をすることを止めると、かげぼっちはふたたびやってきます。



 かげぼっちに来て欲しくなければ、家のなかで一人になることを避けるか、毎日かげぼっちの“うわさ”を誰かと共有してください。



 かげぼっちがくる“あなたの家”とは、正式なあなたの住居だけでなく、宿泊・逗留先など、その際のあなたが寝泊まりしているすべての場所(ホテルの部屋、テント、病室、ネットカフェその他)を指します。



 かげぼっちを放置していると、いつのまにかあなたの家に侵入している場合があります。詳しい理由は不明ですが、あなたが気付かぬように外から()いてきて、一緒に家のなかへ入るようです。

 そのため、一度かげぼっちを知ったあと、「家に一人でいることが無いから」と、かげぼっちの“うわさ”をせずに放置し続けていると、すでに入り込まれている場合があります。



 かげぼっちの“うわさ”を誰かと共有しつづけてください。

 この場合の“共有”とは、あなたからの能動的な発信か、他者との相互コミュニケーションによるものです。誰かの発言を見聞きするだけの、情報に対する単純な受動的接触は含まれません。

 誰かの発信に対してレスポンスを行うことで“うわさ”に加担することは“共有”に認められます。ただしこのレスポンスがあなた以外の誰からも認識されない、【ただのひとりごと】である場合は“共有”したとは認められません。

 もちろん、前項と、本項最初で述べた【あなたからうわさを発信した場合】においても、他者から認識されない場合は“共有した”と認められません。

 たとえ、友人との会話がかげぼっちに関することだけになったとしても、

 テレビやラジオがかげぼっちしか伝えなくなったとしても、

 SNSのタイムラインがかげぼっちで埋め尽くされたとしても、

 かげぼっちの“うわさ”を誰かと共有しつづけてください。



 かげぼっちの正体はいまも不明です。



 

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― 新着の感想 ―
[良い点] かげぼっち、良いですね、だいだらぼっちも「ぼっち」は「法師」と書くらしいですね。 [一言] かなり怖い妖怪だと思います。この条件でどんどん噂を広め続ければ「かげぼっち」は大量のフォロワーが…
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