第8話:町へ
体調が悪く昨日は投稿を飛ばしてしまいました。
今回もお楽しみ頂けたら幸いです。
ステアの父親の傷はそこまで深く無く、楓と陣のスキルと魔法で十分治療できた
傷が治り落ち着いたステアの父親は優達に感謝を述べた
「助けていただき本当にありがとうございました。私、アリンと申します。」
「いえ、ご無事で何よりです。俺は優と言います。こっちは楓、それと陣です。」
アリンに続き優たちも名乗ると経緯を尋ねた
「実は私、商会を営んでおりまして、仕入れに出ていたのですが、戻る途中で奴らの縄張りに踏み込んでしまったようで…」
「奴らって…あの変な生き物のことですか?」
「え、えぇ。奴らはこの辺りに群れを作って生息している『コボルト』という魔物ですが…ご存知ないのですか?その歳ならば一度や二度見たこともありそうですが…。それに、その珍妙な乗り物は一体なんです?」
アリンはは訝しげに語った
「ん?あぁ、これは車椅子という移動を補助する道具です。」
「移動を補助?と言いますと動力は魔石?もしくは魔力注入でしょうか…?」
商人の血が騒ぐのか、前のめりになって目を輝かせていた
「まぁ、落ち着いて、こちらも魔物について教えていただきたい。情報も、タダではないのでね?」
優は笑みを浮かべて言った
「おっと、すみません、私としたことが……」
アリンは焦ったように額の汗を拭きながらも魔物について語り始めた
魔物というのはどこからともなく発生する基本的に凶暴な生き物である。一説によると魔力(本来はリソース)が溜まっている場所で発生し易いと言われており種族によっては群を作り繁殖をする種もいる。縄張り意識が高い種が多く今回の様に不用意に踏み込めば大変な事になる。ごく一部、知性が高く人間に対して友好的な種もあるらしい。
「ますます本物の異世界だな…」
「異世界、とは?」
「い、いえ何でも。で、車椅子の事でしたね。実を言うと俺もよく分かってないんですよ。特に魔力を充填した事も無いですし、魔石?なんて物も使ってないんですよ。あ、嘘はついてないですよ。」
この車椅子が周囲のリソースを取り込み増幅させて動く半永久機関であることはステータスを確認した際に把握していたが、原理は理解していないためあながち嘘でもないのである。優はこの動力システムを源動と呼んでいる。
「ほう、その様な不思議な乗り物をどこで手に入れられたのですか?」
「昔旅に出た知り合いが僕の為に作ってくれたんですよ。その人を探すというのもこの旅の目的の1つなんです。」
「ほう!そんな高い技術を持った方とお知り合いとは!その方のお名前だけでもお教え頂けませんかな?」
「あっ…えーと、そうだ!このままここにいてもまた魔物が来るかもしれません。ともかく町まで急ぎましょうう!」
優はこれ以上の詮索を避けるためやや強引に話を逸らした
「それもそうですね。今からなら夕方には町に着くでしょう。」
「意外と近いんですね!」
楓は町がここから近い事は知っていたものの怪しまれない様大袈裟に驚き
「そ、それじゃあ早く行こうよぉ」
「まーた、陣はそんな情け無い声を出して。もう少しシャキッとできないの?」
情けない声を上げた陣は楓に一喝されていた
「とりあえず、町に向かおう!」
談笑しつつも一行は町へと歩み始めた
いかがでしたでしょうか?
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また、次回の更新をお待ち下さい。