第21話:友と隠し事
皆さんには一生涯の友人と言える相手はいますか?
今回も楽しんでいって下さい。
21話
優がレストランで食事をしている頃、楓と陣は町をぶらぶらしていた
「いや〜、なかなか現実離れした風景だね〜!」
「そうねぇ、でも陣が好きなアニメとかに似てるんじゃない?」
「そうなんだよ!最近の異世界ものの大半が中世ヨーロッパ風の世界観なことに疑問を持っていたことは否定できないんだけど、実際に異世界に来てこの町並みを見て日本の創作物の通りになってることに驚きを隠せないよ!でも、前にヨーロッパの町並みについて調べたことがあるんだけど特徴が合う地域が思い当たらないんだよね。用水路が多いのはヴェネツィアに似てるんだけどそれが交通手段として使われている訳では無さそうだし、プラハほど建物の統一感もないし、パリみたいな区画整理も行われていなさそうだし……う〜ん、やっぱり異世界の要素が関係してるのかなぁ……楓はどう思う?」
「うん?あー、陣が元気そうで何より!かな?あっ!可愛い雑貨屋さんがある!行こ!」
「聞いてないし…….まぁ、いいか」
2人はなんでもない会話をしながら時間を潰し、宿に戻った
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「優、食事は美味しかった?」
「ん?ま、まぁ美味しかった……よ?」
「なんで疑問系なのよ!もしや……なんかあったの?告白されたとか!」
いきなり核心を突いてきた楓に慌てるも2人に隠すつもりの優は平静を装った
「いやいや、そんな事あるはずが!……いや〜、前世含めて家族と楓以外の女性と2人きりで話すこと自体なかったから、緊張しちゃってな……」
優は捲し立てるように言った
「ふ〜ん、少し怪しいけど。まぁ、いっか!こっちは可愛い雑貨を買ったわ。陣が少しうるさかった以外は良かった!」
「うるさいって……でも、町並みをゆっくり見れたのは良かったよ」
楓も陣も外で食事は済ませていたようで早めに休むことにした
「それじゃあ、明日はギルドで依頼をやるってことで」
「ふぁ〜い」
楓は眠そうに返事をしながら部屋に入っていき、優と陣の2人は少し話していた
「そろそろ俺も休むか〜、今日は疲れたな……」
「そうだねぇ……僕も眠くなってきたよ。あっ、でもその前に」
休もうとする優を陣は呼び止めた
「ん?どうかしたか?」
「き、気のせいかもしれないんだけど……今日、レストランで何かあった?言いたくないならいいんだけど……」
「いや、何もなかった……けど」
虚をつかれた優は戸惑いながらも応えた
「そうなんだ……優の喋り方が普段に比べて違和感があったから。でも、何かあったらいつでも相談してね……」
「っ……すまん!嘘ついた……2人に言うつもりはなかったんだが……やっぱり陣には隠し事はできないな」
「やっぱり何かあったんだね……というか僕だけじゃなくて楓も疲れてなかったら気付いてたと思うよ。で、何があったの?」
「実は……」
優はレストランであったことを陣に話した
「おぉう……確かに楓に話したら面倒くさそうだね。でも、あの時の優カッコ良かったからなぁ……でも、この世界を救う甲斐が出てきたんじゃない?」
「んなっ……でも、確かにそうだな。というかこの世界を救う話を受け入れられたのか?」
陣が帰りたがっていたことを思い出し優は心配した
「う〜ん……楽しみ半分諦め半分ってとこかな?オタクなら一度は憧れる展開なのは確かだし、現実であるのは確かだから勢いに乗ったほうが楽かなって」
「そうか、前向きになれたみたいで良かった。陣も何かあったらいつでも相談しろよ」
「そうするよ。それじゃあ、僕は寝るよ。」
「そうだな。おやすみ、陣」
2人はそれぞれの部屋に入っていった
今回も楽しんで頂けたでしょうか?
次回の更新をお待ち下さい。
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