第13話:帰還への光明
今日は普段あまり足?タイヤ?を向けない場所の散策をしました。見慣れない景色を見るのは中々刺激があって楽しかったです。
「……とまあ、これが俺がギルドでぼーっとしていた理由だ」
優はデウスエクスマキナとの会話について話した
「へ、へぇ、随分と変わった神様なんだね……でも丁度良さような目的が出来てよかったじゃない」
楓もデウスエクスマキナの話を聞き少し困惑していたが目的が出来たことを喜んだ
「ふ、2人に聞きたい事があるんだ……」
陣が突然話を切り出した
「何だ?」
陣は恐る恐る口を開いた
「何だも何も、2人は怖くないの?帰りたくないの?」
陣の予想外の言葉に2人は気づかされた。
いや、2人は目を背けていたのだ。向こうの世界には家族も友達もいて、そもそも自分達が学生であることに……
「僕はっ……怖いし帰りたい……でも、帰り方も分からないし、2人を置いて帰るなんて事も出来ない……2人はどうしたいのかを聞かせてほしいんだ……」
陣は精一杯の声で2人に問いかけ
「そ…それは…」
優は改めて気付かされることになった
はたして、高校生3人で生きていけるのか
はたして、車椅子の自分がこの先この世界を 生き抜けるのか
はたして、帰ることはできるのか
そもそも、帰る方法などあるのか
今まで目を背け続けてきた現実を陣に突きつけられ様々な思考が優の頭を駆け巡った
「でも……でもっ!何か行動を起こさないとどうにもならないじゃない!私だって……優だってそんなの分かりきってるわよ!」
楓が涙目ながらも力強く言った
「楓……陣……俺は帰りたいし、死にたくない」
「私だって帰りたいし、死ぬつもりだってないわよ……」
2人は自分自身の意思をはっきりと口にした
「そして、だからこそ俺たちは前に進まないといけないんじゃないのか?ここで怯えて、アリンさんのお世話になり続けるなんて俺は、嫌だ……」
優は続けて想いを陣に告げた
「でも、僕達高校生だよ?あの魔物だってみたでしょ?あんなのがうじゃうじゃいる世界を、僕達が生きていけると思うの?」
陣は優の言葉に反発する様に返した
「確かに、私達は高校生だよ。でも……普通の高校生ではないじゃない!優だって、私だって、陣だって戦う力を手に入れたじゃない!この力は私達が生き、そして、無事に帰る為のものなのよ!そうでしょ?」
楓は弱気な陣に向かいそう力強く語りかけた
「そもそも、帰る方法すら分からないし"存在"の件だってある。俺たちがここで歩みを止めちゃダメだと思うんだ」
優は冷静に感情をを押さえつつ陣に語りかけた
『おーい、ちょっといいか?』
(?!)
優の頭にデウスエクスマキナの声が響いた
『熱くなってる時に水をさすつもりはないんだが、帰る方法なら無くは無いぞ』
デウスエクスマキナはいつもの調子でとんでもないことを言った
(それは!どういう…)
優は驚きつつデウスエクスマキナに聞き返した
「優?どうかした?」
「あ、ああ、デウスエクスマキナが話しかけて来たんだ」
陣は優の異変に気づき声をかけた
そして、優はデウスエクスマキナとの話を続けた
(で、帰る方法があるっていうのは?)
『簡単だ、俺とお前で創るんだよ。この世界の面白いオモチャ組み合わせればそれぐらいできると思うぞ』
デウスエクスマキナ曰く、この世界の高度な技術を応用し、デウスエクスマキナの力を加えれば帰還用の道具を作れるというのだ。しかし、その為にはより多くの、より高度な道具(魔道具とする)その魔道具の情報が必要であり、そのためには実物に触れ、優を介してデウスエクスマキナが解析する必要があるそうだ
『まあ、そんなこった。この世界の古代文明にも面白いモンが眠ってるかもしれないからこの世界を巡ってそれらを探す事をオススメする』
いつもの調子で無茶苦茶を言うデウスエクスマキナだが筋は通っていた
(無茶言ってるけど、現状はあなたに頼るしか無さそうですもんね。お願いします)
優は呆れながらもデウスエクスマキナの提案を飲む事にした
『おお!そうか!そうか!これで俺も面白いオモチャを沢山見れるわけだ!』
(はぁ…)
「2人とも聞いてほしい。今、またデウスエクスマキナに話しかけられて…」
優は2人に帰れる可能性がある事とその為にはこの世界を巡る必要がある事を伝えた
「少し怖いけど……動かないことには何も進まないものね!」
「帰れるかもしれないなら……分かった!僕も手伝うよ」
2人も提案を飲み異世界を巡ることにした
(これで、今後の方針が決まったわけか…なんかデウスエクスマキナの思い通りなのが腹立つけど)
『おいおい!俺が居なかったら話は平行線のままだったんだぞ!感謝してもらいたいな!』
(はいはい、ありがとうございまーす)
『扱いが、段々と雑になってる気がするが……まあ、いいか!これから楽しみだな〜』
優はデウスエクスマキナに呆れ、デウスエクスマキナは新しい技術との遭遇に心を躍らせるのだった
今回も楽しんで頂けたなら幸いです。
次回の更新をお待ち下さい。