第10話:ギルドとデウスエクスマキナ
説明回を挟みましたが一応記念すべき10話です!
「ここが冒険者ギルドとなっております」
そこには三階建ての綺麗な石造りの大きな建物が建っていた。
「思ってたのと少し違ったな……」
冒険者ギルドというから所謂酒場が併設されており騒がしく荒々しさのある物を想像していた優は拍子抜けしたように言った
「冒険者ギルドはこの世界での役所にあたるのかな?いや、でもこの町の住民全員が冒険者なはずはないだろうし。ということは、この世界での冒険者とは僕が想像してる冒険者とは違うものなのかな……」
陣は突然早口でブツブツ呟き出した
「じ、陣?どうしたの?」
「んぁ?あっ!ごめん少し考え事を…」
楓に声をかけられた陣は元の世界に戻ってきた
「それでは中へ入りましょう」
「そうですね」
5人は冒険者ギルドの中に入っていった
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「ようこそ!冒険者ギルドへ!』
中落ち着いたデザインになっており正面のカウンターには受付嬢と思しき女性が何人かいた
「この3人が身分証もお金も持ってないそうなので連れて来ました」
「お金も身分証も持っていないとは少し怪しいですが……おや?アリンさんじゃないですか!」
「は、はい。魔物の群れに襲われていた所お3方に助けられまして……それが理由になるかは分かりませんが少なくとも悪い人達ではないかと……」
「そうですか!アリンさんがそういうのなら信頼できる人達なのでしょう。それでは身分証をお作りしますのでこちらにお越し下さい」
受付嬢がカウンターの中から何やら不思議な機械を取り出した。すると……
「うっ、また……頭が……」
優の頭がまだ痛みだし頭に男の声が響いた
『おお!これはこれは中々面白そうなおもちゃだなぁ!』
「……っ!」
優が声の主を探そうと辺りを見回すが近くには陣、楓、ステア、アリン、受付嬢しかいなかった
『まあまあ、落ち着けや。おれはデウスエクスマキナ!お前の元の世界で機械の神をやっている!あとこの声はお前にしか聞こえていないから不審者になりたくなけりゃ大人しくしとけ。』
「デウスエクスマキナというと……そうだ!あの加護の欄に書いてあった……」
『おお!そうだ、そのデウスエクスマキナだ』
「それでそのデウスエクスマキナ様が何か?」
「ん?優どうしたの?さっきからブツブツと。まさか陣のが感染った?」
楓がからかうように言って来た
「あ、いや何でも無い……」
『そうだそうだ、お前の声は頭で考えるだけで聞こえるからな。』
「んなっ」
なんて適当なと思いながらも声を出さずに会話する事にした
(これは念話とでも呼ぼう)
『ははっ中々短絡的なネーミングセンスだな!』
(何から何まで筒抜けとは……)
ああ、神よプライバシーは無いのかと祈りながらデウスエクスマキナと会話を始めた
『そうだ話の続きをしないとな。まず俺が話しかけた理由だ。大きくは二つ。一つは俺が暇だった、二つ目は面白そうなおもちゃが出てきたからだ』
堂々と身勝手な発言をしてきた
(やっぱりこの神様適当過ぎないか?)
『おいおい失礼な!お前が乗ってる車椅子だって俺がいなけりゃ存在してないんだぞ』
(それはそれはお世話様です)
優はテキトーになった
『あっ!雑になりやがった!神に向かって失礼だぞ!まぁ、いいや本題だ。俺は暇だった、だがこの世界にはそこのみたいな面白そうなおもちゃがあるようだ。だから、お前にはそれらを探して俺の暇つぶしを手伝って貰おう』
(嫌です)
『えっ』
(嫌です)
『まっ(嫌です)
『けっ、いいもん。お前にも多大なるメリットのある話だったのに…』
(メリット?)
『聞きたい?』
(はい!)
『聞きたいか!』
(はい!)
『聞かせて下さいといえ!』
(聞かせて下さい!)
『はっはっはっ!いいだろう!聞かせてやろう!』
(へっ、ちょろいな)
優は心の中で悪い笑みを浮かべながら掌をくるっくるっしていた
(優が掌くるくるしてる。何してるんだろ?)
どうも様子がおかしな優を楓は不思議そうに見るのだった
デウスエクスマキナとの掛け合いは書いてて非常に楽しかったです。
次回の更新をお楽しみに。