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影法師  作者: 山さん
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影法師 第1話 後編

影法師第1話後編


「うぅ…」


湿った空気と生臭いにおいで目覚めてしまった


「ここは…?」


辺りを見渡すと半壊した木造住宅が多数あり、汚染された湖、魚や虫の死骸があったりと劣悪な環境だった


「…あの人は?」


一緒に連れてこられた男性を思い出し、辺りの探索を始めた


(あの穴からこんなとこに来たのか…?さっきまでの場所と全然違うじゃないか…さっきの人見つけたら早く帰る道探さないと…!)


しばらく探索を続けると枯れ果てた木々を見つけた

おそらく元は森であった所だろう

さらに奥に進むと先程の男性が横たわっていた


「いた!大丈夫ですか!?しっかり!!」


「う…うぅ…」


どうやら息はあるようだ

昇は男性を背負ってこの場を離れることにした


(…なんだ?)


遠くから地響きが聞こえてきて、その音が段々近づいてきた


「おいおい…噓だよな?」


そして一際巨大な黒いモヤに包まれた化け物が現れた


「に、逃げなきゃ…」


だが、足が震えて思うように動けないでいた

化け物は腕を振り下ろし、昇たちはその風圧で吹き飛ばされてしまった


「うおおおおおお!?」


飛ばされる最中に男性を落としてしまい、そして昇の飛ばされた先には崖がありそのまま落下してしまった


(死ぬのか!?ここで…!?)









「うぅ…あれ?」


(生きてる?なんで?)


死を覚悟していたがそれどころか何故か無傷のままであった


(生きてはいたけど…さすがにここを上るのは…)


上を見上げると絶壁しか見えず、光も見えなかった


「どうしたもんかな…うん?」


また死を覚悟したがよくみるとこの場所は洞窟になっており、奥のほうから光が差し込んでいることに気づいた


「…これは」


奥の方へ進むと青く光る結晶を見つけた

更によく見ると結晶の中に少女が入っていた


「大変だ!早く出さないと…あ、ここヒビがある…」


落ちていた石でヒビを中心に叩き始めた





んで、5分後…


「ぜーはー…ぜーはー…まだ割れん…」


「ああ、もう余計な事はしなくてよいぞ」


「そう?じゃあ、お言葉に甘えて………えっ」


中に入っている少女が話しかけてきて思わず驚いてしまう


「やれやれ…お主がさっきから石をカンカンカンカン鳴らしたから起きてしまったではないか。せっかくいい夢をみてたというのに…」


少女がムスッとしながら言った


「あ、すいません………じゃなくて!いつから起きてたんだよ!?」


「お主が石を叩き始めた直後じゃな」


「ならその時に止めてよ!ずっと叩きつけてたのが馬鹿みたいじゃないか!!」


少女はニヤニヤしながら


「割れるはずないのにずっと叩き続けるのが滑稽で…ぷっ」


少女は腹を抱えて大笑いした


(くそ!何なんだこいつ!?)


「小僧、離れていろ」

「え?」


昇が反応すると同時に少女を覆っていた結晶が割れた


「おお!結晶が割れたたたたたたた痛い!!破片が突き刺さって痛い!!」


少女は深くため息をついた


「思ったより体が動く…さて小僧、ワシを目覚めさせたからには覚悟しろよ?まずはこの世界を…ム?」


少女は目を閉じ、しばらくすると目を見開いた


「なんじゃ?世界が2つに分かれとる…!?」


「2つ?」


「…なんか興醒めじゃな。寝るか…」


少女は近くにあった毛布で体を包み寝始めようとした


「ちょ、ちょっと待ってよ!まだ教えてほしいことがあるんだけど!?」


昇は少女を毛布から引っ張り出して身体を揺さぶった


「…うるさいのう…そうだ。ちょっと失礼するぞ」


そう言うと少女は昇の頭に手を置いた


「ほう…元居た場所から穴を通ってこっちに来て、変な化け物に襲われてここに辿り着いたと…」


「おお!なにその便利な力!」


「説明されるより話が分かると思ってのう」


少女はしばらく考え込むと話をまとめてくれた


「…ワシが考えるにはまずお主が入った穴はこの世界とお主がいた世界を行き来するための入口みたいなものじゃな。で、お主を襲った黒いモヤの化け物は『影』と呼ばれる存在じゃ」


「影?」


「あ~…ちょっと説明めんどくさいが人間には『陰』と『陽』の力が備わっていて陰の力が多いと浸食されて影になるのじゃ」


「じゃあ、さっきの影ってやつは元は人間だったってこと?」


「…そういうことになるな」


「まじか…どうすれば元に戻せんの?」


少女はしばらく考え込み、1つの策を伝えた


「残念じゃが、影になった人間を元に戻すことは出来ん。だが、陰を消し去り、陽の力を与えれば何とかなるかもな」


「どうすれば?」


少女はニヤリと笑い指を指した


「ワシがお主の陽の力を引き出してやろう。さすれば超人的な力を身に付けることができるぞ」


昇はこの提案にのるか迷っていた

果たしてこの少女は信用していいのか


(だけど今、俺は何も出来ない…それにさっきの人も今頃どうなっているか…)


「どうした?…心配するな、少なくともお主に危害を加えるつもりはない。」


しばらく悩んだが決心がつき少女出した提案にのることにした


「…分かった。その提案にのるよ」


「…よし」


少女は再度、昇の頭に手を置いた


「…ちなみに力を引き出す条件として毎日ワシを養うこと。良いな」


「えっ、ちょ_」


「すぅー…はっ!!」


少女が力を込めると昇の身体が発光がしていった


「おお…!?」


体から力が湧いてくるのを感じた


「これなら…いける!!あ、そうだ」


急いで向かう前に1つ聞きたかったことを思いだした


「君の名前聞いてなかったよ」


「ワシの…名前?」


少女は思いもしなかった質問をされたようで少し戸惑った


「…ワシの名前………修羅」


そう言う少女…修羅は少し寂しそうな表情をしていたが昇は気づかなかった


「…修羅…ありがとね!」



                  『修羅、ありがとね!』



「!!」


修羅はおぼろげでどこか見覚えのある記憶が頭の中によぎっていた


「じゃ、行ってくる!はっ!!」


修羅に礼を伝えると強化された脚力で崖を飛び越えた


「おお~…やりおる、あの小僧」


「………」


「…ありがとね…か。」


崖を見上げボソッとそう呟いた修羅の表情はどこか嬉しそうであった







「よっと…すげぇ…こんな力初めてだ…!」


スポーツ選手やアスリートとは比べ物にならない力に感動していると少し先の平野で先程の男性が影に襲われていた


「ひぃ~!?た、助けてくれぇ!!!」


「ガアッ!!」


昇は超スピードで移動し、男性が食べられる直前に救出することができた


「離れててください!」


「君は…!?」


「早く!!」


男性は急いでその場から離れ、影は追いかけようとしたが昇に足を掴まれて動くことができない


「お前の相手は俺だっ!!」


影の足を掴んだままスイングして影を投げ飛ばした


「グオオオオ!?」


「どりゃぁ!!!」


影吹っ飛んだ先にいち早く移動し地面に向かって思いきり殴り飛ばした


「グオオ…」


影は苦しみの声をあげて、動かなくなった


「はあ…はあ…勝った?」


「油断するなよ、小僧」


後ろからフワフワと浮遊している修羅が登場した


「修羅?…飛べるんだ」


「ワシにできんことはない。それより、そいつはまだ生きてるから油断は禁物じゃぞ」


「グ…オオオオオオ!!!」


影は突然起き上がり、怒りの雄叫びをあげている


「な、なんてタフなやつだ…!あんだけ思いきり殴ったのに…!」


「言い忘れてたが引き出した陽の力はただ身体能力が向上しただけではない。同時に特殊な能力も目覚めたはずじゃ」


「特殊な能力…?」


「わしも詳しくは言えん…なんせ人によって能力は異なるからのう。だが、お主自身もまだ全力を出せていないことに気づいてるんじゃないか?」


「…言われてみれば確かにまだ熱い何かがこみ上げてくるような…?」


「その熱い何かをイメージして引き出してみろ。良い感じに具現化するはずじゃ」


そう言われ何とかイメージをしてみてもあまりうまくできず、そうしている間に影は少しづつ近づいて来ていた


(引き出す…引き出す…あ、そうだ。釣りのイメージで…釣り上げる感じで…)


そして影は昇たちの目の前に立ち、腕を振りかざした


「フム…意外と見所あるではないか」


そのまま影の攻撃は直撃したかのように見えたが…


「う…おらぁ!!」


「ギャア!?」


影の攻撃を押し返した…だけではなく


「…電撃?」


「それがお主の真の力じゃな。じゃあ、その力を奴に注入しろ。奴の体内に入れると陰の力を消すことができるぞ」


「それで元に戻るのか?」


修羅は首を横に振った


「元には戻らんじゃろうな…あの姿になった時点で人としての人格や生命は陰の力にすべて浸食されておるからのう」


「そっか…ならせめて楽に…」


昇は影に近づき身体を探っていた


「それでどこに注入したら…?」


「…ケツじゃろうなぁ」


「噓でしょ…」


嫌な顔をしたもののこの影のために最善を尽くすと考えたら、我慢するしかなかった


「…じゃあ。フン!」


ケツに手を突っ込み陽の力を送った

次第に影の身体は消滅していったがどこか安らかな表情であった







「…やっと見つけた。この穴だよな…」


1時間くらい探し回り、ようやくこの世界に来た原因の穴を見つけた


「ありがとう…君がいなかったら俺ぁ、死んでたよ。本当にありがとう…!」


先程、昇に助けられた男性が深々と頭を下げた

どうやら穴を探すのを手伝ってくれたようだ


「いえいえ、帰りもどうかお気を付けて…」


男性は一足先に穴の中に入った

そして昇は帰る前に改めて修羅に礼を言った


「いや~君には随分と世話になったよ。本当にありがとう!じゃ!」


礼を言い終え、穴に入ろうとしたら服の襟を引っ張られた


「いや、待て小僧、力を引き出してやった条件…忘れてないよな?」


「ですよね…」


「約束どおりお主に養ってもらうからのう。ワシの命令は絶対聞くように!」


「あ、はい…」


修羅が先に穴に入ろうとするとアっと言い、昇のほうに振り返った


「そういえば…お主の名は何というんじゃ?」


「昇……旭昇」


修羅は驚いたような表情をしていた


「旭…昇?」


「?どうしたの?」


「いや…結構良い名じゃな!ではこれからよろしく頼むぞ、昇!」


修羅は笑顔で穴の中に入っていった


「…やれやれ、なんか大変そうな日常が始まりそうだ…」



第1話 後編end


第2話 前編に続く




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