瞬く星
心の奥底い輝く星屑たちの存在に気付いているかな?僕は何も知らないまま『この世界』に来て、訳の分からない事態に巻き込まれている。
何が起きているのかさっぱり分からないけど、何故か心地よいと思うのは気のせいだろうか?
眠っている身体とは正反対に僕の中で輝く『ダイヤ』と言う存在が、この先にどんな未来を与えるかなんて理解する事なんてない。
――そう思ってたんだ。
◇◇◇◇◇
巡り替わって視点は変化していく。まるで人間が命を燃やすように……これが『生きる』って事なのかもしれないね。
僕の心の溜息にリンクするように、微かに聞こえていきたのは彼女の溜息だった。
『よく眠っていられるわね。この人種』
この空間にいるのは僕と彼女だけのはず、そう思っていたのは僕の勘違いだったようだ。
――ん? 何故そう思うのかって? それはね……
『ふふふ。サユ様もまんざらではないでしょう?』
サユ様と呟くもう一人の女性の声が、存在感を与えているから、気付いたんだよ。この人の声はどちらかというと『ハスキーボイス』だ。演じたら男性の声とか出せそうな声質の女性。瞼が閉じたままでも、この『ダイア』と言うものの影響かもしれないけど、目に見えないものでも心で感じとる事が出来る。
「はあ? 誰がこんな奴……溜息しかでないわ」
「あら。そこまで興味津々なのですか。珍しい事もあるものですねぇ」
茶化すような口調は、音を奏でているようで美しく思えた。
「キズナってば。人を怒らしたいの?」
「ふふふ。そんなに照れなくても」
「照れてなんかないわよ! 何を勘違いしているの?」
「この国をまとめ上げる貴女様がここまで反応するという事が珍しい事ですから」
二人の会話が心の奥底に映像と変化しながら、僕の鼓膜と全身を包み込んでいく。まるでじゃれあっているみたいで、起きている状態なら爆笑ものだろう。
(僕が爆笑したら、パンチが飛んできそう……)
二人の会話を肌で感じて、心で感じて……その度に『ダイア』が僕の心臓が共鳴をするように温かくなっている。
(……居心地いいの、なんでだろう)
そんな事を想いながらも二人の戯れを傍観者のように楽しんでいるのは内緒だよ。僕と君達にしか知られてはいけない……直観で感じるんだ。
「しかし珍しいですね」
キズナの口調が変わって、和やかな雰囲気から、緊張感のある空間へと移り変わる。その度にドクンと僕の心臓が跳ねた。
「何よ。急に」
「サユ様をからかい続けると可哀そうですからね。本題に入るだけですよ」
「っつ……あたしをからかってたのね。そして楽しんでた訳?」
「ご名答」
「最低!!」
くっくっくと笑いを堪える姿が目に浮かぶ。眠っている僕の事なんて忘れて『じゃれている』みたいだ。二人の声を聴いていると、心臓が熱くなり、感情が抑えきれなくなっていく……
「あらあら。そんなはしたない言葉を投げかけて現状をお忘れですか? 本当にじゃじゃ馬だ事」
じゃじゃ馬扱いされている『サユ様』のほっぺたが赤い風船のように膨らんでいるように感じたんだ。
――怖い人だと思ってたけど、違うんだな。
心の声は僕だけの音――