結局はそうなるのね……
たかが法令、されど法令。自らの作ったルールに囚われてしまったのはサユ自身だった。彼女の足元には、落とし穴がいつの間にか現れていた。
――言葉の落とし穴
そう呼んでもいいかもしれない。メアが作った道筋は覆される事なく、真っすぐ前に進んでいく。
止まる気配など感じない程に……
『どうしました? サユ様。顔色が悪いみたいですが、体調でも、崩されたされたのですか?』
嫌味は嫌味を呼ぶ――ある意味言葉の、罵り合い戦争に近いものに見えるのは、どうしてかな……
「メアもサユもいい加減にして!! 楽しいお茶会を開いているんでしょ? 喧嘩する為にここにいる訳じゃないんだよ?」
このまま放置する事も考えた――だけど様子を見ても、止まるどころかどんどん加速していく現状に耐え切れず、言葉で中和する。
(荒治療かもだけど、これ位しか思いつかない……)
僕の気持ち、想いが届くのか分からないけど、黙っておく事なんで出来ない、そう感じた。
ある意味、無責任な正義感なのかもしれないけどね。
『ゲン様の言う通りですよ、二人共。色々、お互いに誤解しているから開いたのに、意味がなくなってしまいます……』
僕の言葉に賛同したのはキズナだった。彼女は悲しそうに二人を説得しようとしている。僕の方法とは明らかに違うけど、効果てきめんみたいで、二人共、黙ってしまった。
変な空気にしたくない。折角だから楽しくしたい。
「――さぁ、お茶会の続きをしよう」
それが合図となり、新しい「お茶会」が始まりを告げた。
おいしい紅茶は誰のもの?
僕のものでもあって、他の人のものにもなる宝物。
おいしいお菓子はどんなもの?
甘くもあり、苦くもあり、紅茶と組み合わせる事で仮面をつけるもの。
時間が解決してくれると思った、と言うか……それしか方法がないと思っていたくらい、シリアスに感じたから――流に身を任す事にしたんだ。
すると、どうだろう? タイプは違えど、性格が似ているからだろうか。いつの間にか何事もなかったかのように、サユとメアは語り合っているじゃないか……それも僕についてだ。
『本当、誰かさんって鈍いわよね~』
『そうなのよ!! いつっも困ってるの……メア、さすがね。よく理解してる』
『ずっと側近としているからかしら……もう慣れたわ。ある意味一種のゲームだと思えば楽しくなるものだから』
「どういう事?」
『なんでもないですよ』
『そそ、ゲンの癖に』
――僕はどちらにしても、話しのネタにされるんだと、思い知った瞬間だった。




