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知らない世界2

ここは何処かな? お菓子の国? それとも……夢なのだろうか。


僕は深い夢の中に閉じ込められながら、美味しそうな匂いを感じていた。甘ったるくもなく、丁度いい匂い。からだは正直で空腹を音で奏でてる。


――ぐぅううう~


ううあ、凄い音が鳴り響いている。まあ、これは夢だから全然恥ずかしくもないし、何とも思わないんだ。夢じゃなくて現実だったら、相当泣いちゃうけどね。


子供の頃から泣き虫だった僕は、いつも女の子の後ろに隠れて震えてた。見た目が女の子に間違われる事が多くて、色んな男子にからかわれた記憶があるんだ。


勿論、中には男子から告白なんかされたりして、女子はそんな光景を見てさ『もてもてじゃん』って皮肉を投げかけて、僕の心に傷をつけていった。


いわば『トラウマ』だよ。思い出したくもないけど、でも色々乗り越えて今の自分がいるから、受け止めてるんだ。うん……そのつもりだけど、本当に受け止められているのかは分からない。


昔の事を考えたり、思い出したりすると頭痛がするんだ。なんだろうね、軽く吐き気もする。これって……もしかして。


(まだ乗り越えられてないのかな?)


僕のお腹の音も心の不安も、トラウマも、勿論言葉も、誰にも届く事はないんだ。てか、届かなくていい、こんな自分、他人に見せたい訳じゃないからさ。


「へぇ~、これがあんたのダイア(・・・)か。脆いんだね」


誰かの声が聞こえる気がする。どこかで聞いた事のある声だ。えーっと、何処だったっけ。


「失礼だねあんた。さっきまで会話してた相手を忘れるなんて、いい度胸してるわ、さすが侵入者ね」


侵入者……その言葉を聞いた瞬間に、先ほどの事が夢ではないのかな? と不思議な感覚になってきた。どうやって証明すればいいのか分からないけど……


「夢とか幻とか思ってるのね。本当失礼な奴、勝手に倒れて、危なかったのだから、あんたの『ダイア』を治療していたのに……はた迷惑だわ。あたしの貴重な時間を返してくれないかしら?」


ダイア? って何なんだろう……ダイアと言えばトランプ? うーんそれ位しか思いつかないや。そのダイアと言うものがどうしたの? 僕と何の関係があるの?


「トランプって何それ?訳分かんない。ま、いいわ。説明はダイアと体のバランスが安定したら教えてあげる。しかし……なんていう事かしらね。こんなものを持ってるなんて。絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)なのかしら。不思議な生体ね」


ダイアと体の安定とか、よく分からない事ばかりだし。自分の身に何が起こっているのか分からないけれど、今はこのまま眠りについた方がいいみたい。


なんだか、ポカポカする。まるで包まれているみたいだ……

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