突然のお願い
「 もし君がまだこの世界に生きる意味を探そうとするなら、僕は…」
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朝起きるとちょうど下から「起きなさ〜い」と母の声が聞こえ、時計を手に取り見ると、もうとっくに8時を過ぎていた。
ベットから起き上がり、部屋の扉を開け階段を降り母の所へ向かった。
「おはよう」僕が言うと「おはよう」と返し続けて「今日は近くの孤児院の子達と遊んであげるんでしょ」
と優しく言った。
昨日の朝、村の男達が集会所に集められ、夜になるまで話は続いた。
僕は夕方から夜まで他の家の家事を手伝い、家に帰ろうと明かりの無い道を進んだ。
「お、アレンじゃねーか」後ろから明るい声が聞こえ、振り向くと孤児院のマスターのジークが手を振りながら僕の方へ歩いてきた。
「また家事を手伝っていたのか」と優しく言うと僕は「はい、今日は料理の手伝いをしていました」
と笑顔で答えた。
「そんなんじゃ女の子にモテないぞ」「なんですかいきなり」
突然変な事を言い出すので、僕は動揺を隠せなかった。
「男は力があってそれに見合った優しさが大事なんだ」「へ、へぇ〜そんなんですね〜」
さっきの動揺を隠せないまま、 僕は苦笑いしながら答えた。
「それに比べてお前はやってることが女の子みたいだぞ」「な、僕はれっきとした男ですよ!」
茶化してきたので、僕は動揺しながら反論した。
「だったら前世は聖母だったんじゃないか。それだったらお前の面倒見の良さに納得だ」「だから僕は」
同じように反論しようとすると、ジークはいきなり真剣な顔になった。
「それだけお前は優しいってことだ。」
周りに静寂が広がった。
「男らしさは別としてな」
そしてまた茶化すので、僕は「だから僕は、れっきとした男です!」と強く念を押して言った。
そしてしばらく歩いていると 「なぁ、ちょっと頼みがあるだが」と言われ、僕は少し警戒しながら
「なんですか」と返した。
「実はな、ちょっと厄介事が舞い込んできてよ、その間孤児院の面倒が見れなくなるんだよ」
少し怖い顔になったジークを見ると僕は「それって朝に開いた集会と何か関係があるんですか?」と質問した。
「いやいや、別に大した事じゃない。ただ、子供達の面倒を見る奴が居ない方が心配だ」
「まさか僕が…」「そうだ、お前に子供達の世話を頼みたいんだ」
僕は少し戸惑い「なんで僕なんですか?」と返した。するとジークはまた僕を茶化すようにして
「さっきも話しただろ。お前は面倒見が良くて、優しいからだよ。」と答えた。
「それだけですか」「あぁ、それだけだ」
そんな話を続けているともう家の前まで来ていた。
「じゃ、頼んだよ」「え…」この会話が終わるとジークは孤児院の方にダッシュで向かった。
それで今日、僕は孤児院の面倒を見る事になったのであった。